留守をあずかるお父さん、子供たちにあることを提案します
| 2016年02月13日 09:00 | 吉村正臣 |
Hélène Riff エレーヌ・リフ (フランス)
Papa se met en quatre
お父さんはいっしょうけんめい
フランス語 翻訳付
出版社:Albin Michel Jeunesse
エレーヌ・リフは、フランスのイラストレーター。父親がアルジェリアで教職についていたため、首都アルジェで生まれました。モンプリエの美術学校、リヨンの応用美術学院、ストラスブールの装飾美術学校で学びました。現在は南仏アルルに住み、絵本作家として活動しています。
7人の子供がいる家族の物語です。ある日、お母さんが歯の治療に出かけます。家からずいぶん遠いので、その日は家に帰ることはできません。留守をあずかるお父さんは「戻ってきたママを喜ばせてあげよう」と、子供たちにあることを提案します。ちょっとマニアックなお父さんの奮闘ぶりが描かれます。
珍しい画風の作品です。パパやママ、子供たちの様子は広い画面の中に、小さくスケッチにように描かれています。広々とした空間に親子のほぼ一夜の出来事が線で、そしてダイナミックに筆で絵の具を走らせて、色のページ、モノクロの線描きのページと大胆に構成しています。人々の描写、そのデフォルメは、優秀なデッサン力で裏打ちされ、描き込まなくてもしかりした絵になっています。上手な人ですね。
<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき
「みんな、パパの言うことを聞いて、おとなしくしてくれよ」
みんなで火のそばにテーブルを運んだ。
パパはストーブに薪をたしたあと、こう言った。
「ママは歯が痛くて、お医者さんに行った。
だが遠いから、今晩は帰れないんだ。明日の朝には戻る。
ママが帰るまで、どうか辛抱してほしい。
みんながおりこうだったら、ママだってうれしいんだよ」