帽子を題材に、人の性質や人生をユーモラスに描く
| 2015年09月29日 09:00 | 吉村正臣 |
Eric Héliot エリック・エリオ (フランス)
La vie de chapeau
シャポー氏の生活
フランス語 翻訳付
出版社: Editions Sarbacane
2007年ボローニャ・ラガッツィ賞・特別賞を受賞したエリック・エリオの本。1959年、フランス/セーヌマルティーヌ県に生まれ。ルーアン美術学校出身。現在も、ルーアンに住んでいます。
出版物、新聞にイラストを提供、絵本も多く出版、またマンガを描いています。この絵から、マンガも上手だろうと想像がつきます。
人の描き方も、なかなかオシャレですが、動物も楽しく描いています。それぞれ、表情があり、いかにも何か論議しているようです。
帽子を題材に、人の性質や人生をユーモラスに描いています。
この絵本は、作家の特徴がよくでた作品です。ちょっととぼけた人物を、やさしいまなざしで描いています。
ムダのない、美しい線、ていねいに塗られた色、たいへん達者な作風。ドラマティックなデフォルメが楽しい作品。
大胆に、スピーディーに描いているように見えますが、緻密に神経を配っています。帽子の飾りを描く螺旋状の線はここへ引くと美しいと計算して弾かれています。すべてが計画されたベテランのイラストレーションです。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき
昔、帽子をかぶった男がいた。
何かにつけて、命令したがった。 こうしろ、ああしろ!
とにかく全員、従わなければならなかった。
ある日、誰かがたずねた。
「しかし、どうして命令するのは、いつもきみなんだよ?」
「それはだね、俺は指揮官の帽子をかぶっているからだ。その帽子をかぶると、命令しないといけないんだ」
翌日、全員が帽子をかぶってきた。
指揮官帽をかぶった男は、いつものように、命令しはじめた。
こうしろ、ああしろ!
でも、誰も命令を聞かなかった。
すみません、売り切れました。この絵本は絶版ですので取り寄せできません。