木々の合間から、美しい音楽がきこえる作品。
| 2014年10月13日 09:00 | 吉村正臣 |
Laëtitia Devernay レティシア・ドゥヴェルネ(フランス)
Diapason
指揮するひと (初版本)
解説付
まったく文字のない絵本です。製本方法が屏風のように「ジャバラ折り」で作られ、横に長い1枚の紙面になります。ただし1見開きごとの絵として描かれています。木々や木の葉が精密に、ストーリーを持って描かれますから、この装丁がこの絵本の良さを際立てたと思います。
ストーリーは、林の中の1本の木にオーケストラの指揮者がのぼり、てっぺんで指揮棒を振ると、木の葉が鳥になったように舞い上がり、群れをなして大空を飛行するというモノ。
ペンと細い筆で、精密に、木々、木の葉、また鳥の姿になった葉が描かれます。大胆な筆致、繊細な線使い、インクで塗られた部分など、スミ(黒)で神経細やかに描いています。そしてごくうすい黄色をのせ、モノクロ画に淡い色合いを加えています。そして、深く黒い部分をよく見ると、緑や、やや赤味が加えられ、微妙な色の変化を持たせ、シンプルながらも、深さのある作品に仕上がっているのです。着色は製版工程時に加えたもので、イラスト作画時ではないでしょう。作家と出版社の心がひとつになったよい例と思います。2011年ボローニャ・ラガッツィ賞・オペラプリマの部の最優秀賞を獲得。
作者は、1982年、パリ生まれ。多くの優れたイラストレーターを輩出した、フランス・ストラスブルグ国立装飾学校などで学びました。
すみませんが、売り切れました。在庫が不安定なため、取り寄せできません。せっかくですが、申し訳ありません。