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アンデルセンの「ナイチンゲール」をマリア・バッタリアが描く

| 2024年05月17日 05:00 | 吉村正臣 |

Maria Battaglia マリア・バッタリア(イタリア)

L’usignolo dell’imperatore
皇帝のナイチンゲール

イタリア語:意訳付
出版社:Fabbri

文:ヴィヴィアン・ラマルク
H.C.アンデルセンのおとぎ話より

 

マリア・バッタリアは小学校教諭を経て、イラストレーションを本格的に学ぶため、ミラノのヨーロッパ・デザイン学院に入学。子供のための絵本を中心に活動。ブラティスラバ国際絵本原画展やボローニャの常連でした。「魔笛」はアンデルセン2000年最優秀イラストレーション受賞。

イラスト・ユーロのコーディネートで、長年にわたり、小澤征爾氏のオペラ公演のメインビジュアルを制作(作品の一部https://www.illust-euro.com/?cat=138)。スローフード発祥の地、ブラに住んでいます。

アンデルセンの創作童話。中国を舞台にナイチンゲールの鳴き声をめぐって展開していく物語。アンデルセンが童話作家として充実していた時期の作品で、アンデルセンの童話の中で最も有名なもののひとつ。

物語は、皇帝は、美しい声で鳴くナイチンゲールがお気に入り。ところが、機械仕掛けの小鳥を贈られると、ナイチンゲールのことなど忘れてしまいました。しかし、重い病気になった皇帝を最後に救ったのは、ナイチンゲールでした。

絵は、マリア・バッタリアの人柄がよく出ている作品です。静かで、優しい世界、細部までていねいです。場面は中国の王宮ですが、イタリア人が描きますから、大変エレガントな人たちであり、ファッショナブルです。風景や木々も、ヨーロッパの香りがします。
色画用紙に、ペンで描き、コンテで彩色しています。地の紙色が色彩を重厚にしています。ハイライト部からシャドー部までのグラデーションが繊細で美しい。素敵な絵本です。

<意訳の一部>   意訳:南乃まあ

中国では誰もが中国人です。 皇帝も中国人だし、他の人も全員中国人。この物語の登場人物も中国人です。
そして、これはとても古いお話だから、忘れ去られる前に今、伝えておきます。

お話のすべては皇帝の素晴らしい宮殿から始まります。
その宮殿は美しい庭園に囲まれ、後ろは森で、前は静かな海が広がっていました。
庭の花々も素晴らしく、何よりも美しいのは、その花が目立つように、皇帝は軽い銀の鐘を吊るしていました。その鐘は優しい音を立てて、人々に「私を見て!私を見て!」と呼びかけているようでした。

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