孫とおじいさんのふれあいが、自然の中で描かれます
| 2017年06月15日 12:20 | 吉村正臣 |
Violeta Lópiz ヴィオレタ・ロピス (スペイン)
les poings sur les îles
話してごらん-おじいさんとの時間
フランス語 翻訳付
出版社:ROUERGUE
スペイン・イビザ島出身。マドリッド大学で音楽を学び、その後イラストレーションの道へ進みます。2010年ボローニャ国際絵本原画展に入選。スペイン、イタリアで絵本を出版し、2012年のボローニャ国際絵本原画展にこの絵本<les poings sur les îles>の原画が入選し、フランスではじめての出版となりました。
読み書きを学びはじめた主人公の男の子(6歳)と、スペインから戦火を逃れてフランスに来たおじいさんとのふれあいが、草、木、花あふれる自然の中で描かれます。貧しくて学校に通えなかったおじいさんですが、野菜を育てたり、料理をしたり、そしてギターも弾けます。大好きなおじいさんから、主人公は学校では学べない、さまざまなことを教わります。読み終えたあと、とても温かい気持ちになれる一冊です。
木や葉、草など植物がとてもやさしく描かれています。人と草木が一体となったイメージもとても美しい。絵の具で描かれた表面が、フィルターをかけたような、独特な仕上がりです。さてなんだろう・・・ワックスをふせているのではないか、と思い至りました。水性絵の具で描いた上に、ワックスを薄く塗って表面をにじんだように見せているのでしょうか。見る側と絵の具画面の間に隔たり感があり、それがこの絵の現代性というか、大人の絵にしていると思うのです。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
今年、ぼくは6才になった。読み書きを教わっているが、とても楽しい。
ルイスじいちゃんの家で、練習をするんだ。
水曜日と日曜日、おじいちゃんがぼくの面倒を見てくれる。
おじいちゃんは、とても小さな家に住んでいる。自分で建てた家だ。
いろんな果物や野菜でいっぱいになった庭もある。そこはまるで別世界だ。
天気がいいと、木でできた小さなテーブルで過ごす。
ノートや鉛筆を持ってきて、勉強する。
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