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赤ちゃんの命を守る、お母さんのおなかがテーマ

| 2020年03月12日 09:52 | 吉村正臣 |

Fanny Ducassé  ファニー・デュカセ(フランス)

Dans le ventre de la Terre
お母さんのおなかで

フランス語 翻訳付
出版社:Seuil Jeunesse

 

フランスの若手人気イラストレーターです。大学で現代文学を、ファッションの名門校・パリ・クチュール組合学校で学んだのち、イラストレーションの世界に入った異色の経歴の持ち主です。デビュー絵本<Louve>は、イラスト・ユーロでもたいへん好評でした。絵本市のサイン会では毎回、おおぜいのファンに囲まれ、人気の高さがうかがえます。絵本のみならず、展覧会や雑貨に作品を提供しています。

お母さんのおなかに宿った胎児の成長を描いています。テキストやイラストでは、おなかの中を豊かな大地や世界に見立て、澄んだ水や栄養素が花を咲かせるように、赤ちゃんがお母さんのおなかで栄養をもらい、からだも心も発達していくさまが描かれます。おなかの中でのできごとは、赤ちゃんにとっては冒険の連続。赤ちゃんの命を守る、お母さんのおなかのすばらしさとたくましさを感じてください。

大地に花が咲き、その根の球根にあたる部分に赤ちゃんが描かれ、また、お腹の大きな女性が表現されます。この物語が人間の胎児の成長がテーマとわかります。

花々、木の葉などが、緻密に細部まで、細いペンで描き、そこに透明水彩で着色。その際、重ね塗りをし、微妙な色の変化を作っています。ペン描きの単純さを、色彩の重ね方でうまくカバーし、重厚さを出しています。
左ページが黒に近い濃いセピア、そこに文字、左ページに絵、このコントラストも、切れ味のよい作品にしています。この作家の特徴よく出ている絵本です。

≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき

お母さんのおなか。広々としています。おなかには生まれる前の赤ちゃんがいます。とても小さいから、いることさえ忘れそうです。

赤ちゃんはたっぷり寝ます。表面にみずみずしい苔が生えているような、お母さんのおなかに、そっと触れてみます。

お母さんのおなかの中は薄暗い。そこに浮かんでいる小さな小さな点が、やがて動きだし、向きを変え、踊り出し、大きくなっていくのです。

糸をつむぐように身長が伸び、体重も増え、成長します。

やがて赤ちゃんの手足が、お母さんのおなかの壁に届きます。

お母さんのおなかの中で、赤ちゃんはどんどん大きくなります。

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