高度に発展した切り絵による「赤ずきん」を発表
| 2016年05月12日 09:00 | 吉村正臣 |
SYBILLE SCHENKER シビル・シェンカー (ドイツ)
LE PETIT CHAPERON ROUGE
赤ずきん
フランス語
Jacob et Wilhelm Grimm(原文)
出版社:Minedition
シビル・シェンカーは、1980年ドイツ・ニュルンベルク生まれ。幼い頃、おじいさんに絵の手ほどきを受け、才能が開花しました。ニュルンベルク応用科学大学で、コミュニケーションデザインを学びました。2006年同大学卒業後、ニューヨークのビジュアル・アートスクールに留学します。切り絵による作品が評価され、ドイツ児童文学アカデミー賞を受賞。絵本やイラストレーションを中心に活躍しています。2010年からベルリン在住。
グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」に続き、『赤ずきん』を大胆に解釈し、作り上げました。
驚くような製本で、実験的な絵本です。まず、表紙は透明カバーがかかり、日本古来の装丁法による糸かがりが活用されています。黒い表紙は厚手の合紙、タイトル文字が切り抜かれています。黒の中に艶のある特殊印刷で花ビラが浮かびます。
黒と白の対比の美しさ、さまざまな色彩、高度に発展した切り絵による表現など、自在に使いこなしています。
中ページは、黒をポイントに、赤、黄、グリーンなど鮮やかの色と、紫、茶などの深く渋い色が多彩に使われ、黒の表紙から意外な展開となります。そして、木々や小鳥など細かく繊細に切り抜かれた窓から、次ページがすけて見え、色彩が変化し、ページを送る効果を高めています。不思議な魅力を持つ優秀作です。
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