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‘14年イラスト界に最も話題を巻き起こした作家

| 2015年10月24日 18:41 | 吉村正臣 |

Raphaël Urwiller ラファエル・ウルヴィエ (フランス)

COMBIEN DE TERRE FAUT-IL À UN HOMME ?
人ひとりに、どれだけの土地がいるのか?

COMBIEN表紙850

フランス語 翻訳付

出版社:Editions Thierry Magnier

イラストレーターのラファエル・ウルヴィエは、ストラスブール装飾美術学校を卒業。アーティスト・ユニットIcinori(イチノリ)のメンバーのひとりです。日本の昔話「一寸法師(いっすんぼうし)」を斬新な解釈で作品化し、2014年ボローニャ・ラガッツィ優秀賞(フィクションの部)を受賞しました。raphaelurwiller.com
今回は、イラストレーションとグラフィックデザインを手がけました。

原作はトルストイの民話です。貧しくても、幸せに暮らしていた小作農・パコム。借地が自分の所有になったことから、パコムの土地に対する欲望はふくらみ、ついには身を滅ぼすことになります。パコムにとって、生きていくのに必要な土地とは、いったいどのくらいの大きさだったのか?イラスト同様、テキストもすばらしい内容です。

2014年にヨーロッパのイラストレーション界に最も話題を巻き起こした作家です。「一寸法師」での絵といい、この作品といい、手書きと版画の手法がミックスされたような平面画と、赤、オレンジ、紺を基調にした単純な色彩、正確な事物の表現力で、物語を直接的に伝えます。ロシアのお話という異国性も強く感じます。色面で描いた部分と線描きの部分が上手に使い分けられ、また、絵グラフのような図式的な絵もあり、かと思うとクローズアップしたリアルな絵もあり、多彩な絵が示されます。とても上手な人です。東洋的空間性もユニークです。

≪翻訳の一部≫   翻訳: 泉 りき

ロシア・西シベリアの平原にあるわずかな畑を耕し、パコムは、妻と三人の子とともに生活しています。
まだ夜が明けず、凍りつく寒さの中、長靴を履いて、パコムは畑に出かけます。
パコムは裕福ではありませんが、家族はとりたてて困っているわけではありません。
暖炉に火が入り、朝食の時間になると、ボルシチのにおいが、小屋中に漂います。

でも風に吹き荒らされ、すっかり小さくなった畑は、さすがにパコムも狭く感じます。
馬を散歩させたいし、牧草が十分にないので、牛はといえば、近所の畑の草を食べに行くのです。

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