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美しく深い画面に、人形の立体、不思議な世界が描かれる

| 2015年11月05日 09:00 | 吉村正臣 |

Miss Clara  ミス・クララ (フランス)

La Princesse au Petit Pois
王女とエンドウ豆 (アンデルセン童話より)

la princesse表紙

フランス語 翻訳付

出版社:Gautier Languereau

ミス・クララ(本名Claire Guiral)は、ボルドーで造形美術を学び、写真スタジオで10年間、グラフィックデザイナーとして活躍。その後、ミス・クララと名乗り、ミニサイズの人形やオブジェを制作。写真撮影と修正技術を駆使し、繊細でどこか懐かしいビジュアルを作り上げています。ミス・クララの夢の世界をお楽しみください。

原作は、アンデルセンの「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」です。ほんものの王女と結婚したい王子が、世界中を旅をしても出会えなかった女性と、意外な展開で出会い、結ばれる物語です。理想ばかり高くて、妥協を知らない王子、息子を放っておけない母親(王妃)、そしてたった一粒のエンドウ豆のせいで寝心地が悪い!と訴える<ほんものの王女>…現代にも十分通じるお話です。

妖艶で深い絵でありながら、人形劇のように人形の立体が随所にあり、不思議な世界を描いています。幾十にも重ねられた重厚な画面、花や額、本、模様、水滴などが重ねられ物語性を高めています。人形やオブジェ作家として立体的に作り、それを重ねたのでしょう。細かいところまで精密に描かれ、独特の作品となっています。美しい色合いです。そして豪華な画面です。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

大昔の、ありえないようなお話です。
ある国に王子がいました。そろそろ結婚を、と願っていました。
でも「ほんものの王女」としか、結婚は認められませんでした。
国の王である者を父に持つ娘こそ、王子にはふさわしいからです。
17歳を迎えた日、王子は両親である国王夫妻と、誕生日を祝うために集まった宮廷の者たちに告げました。「幸せをつかめるよう、ほんものの王女を探しに世界を旅するつもりです」と。
それを聞いた侍従たちは豪華な馬車をしつらえ、王女に贈る高価な品物を入れた、これまた贅沢なカバンをいくつも積みこみました。
自慢の衣裳に身を包んだ王子は「皆が期待している王女を、妻として連れ帰る」と約束し、宮廷に別れを告げました

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