ボローニャ・ラガッツィ賞作家、ファッション界でも活躍
| 2021年05月18日 09:00 | 吉村正臣 |
Jeanne Detallante ジャンヌ・デラタント(パリ生まれ 現:ニューヨーク)
PALOMA ET LE VASTE MONDE
夢見るパロマ
フランス語 翻訳付
出版社:ACTES SUD junior
ジャンヌ・デラタントは、1978年パリ生まれ。2005年ニューヨークに活動の場を移します。同年イタリア版ヴォーグに、写真家スティーブン・マイゼルとのコラボレーション作品を発表。2014年、プラダの2014年春夏コレクションでコラボレーション。作品をモチーフにしたバッグも発売されました。
さらに日本でも、資生堂の企業文化誌『花椿』2014年11月号の巻頭特集が組まれるなど、ファッションの世界で活躍しています。
絵本の世界でも、“Cabinet de Curiosités”で、2015年ボローニャ・ラガッツィ賞・優秀賞(ノンフィクションの部)を受賞しました。
物語の主人公は、三人姉妹の真ん中のパロマ(本名はコロンブ)。小さなアパートで、母とともに4人が閉じこもるように暮らしています。
パロマは、飛行機事故で亡くなった父が残したおみやげのスノーボールを眺めて過ごします。パロマは、もっと広い世界が見たい、身動き一つしないような町から出たいと思っているのですが、ほかの家族は通りの外へ出ることさえしないのです。
若々しいイラストレーションとポップアートを組み合わせたような、今日的な作風です。色彩のコントラスト、原色のキレイな絵本。ファッションイラスト、テキスタイル画の要素が強く、オシャレです。
女の子の顔が、いずれも日本人か東洋人のようで、また、全体に平面的なので、絵に優しさと懐かしさを感じます。ごく細い鉛筆の線?で、浅い立体と影を作っています。若い女性に喜ばれそうですね。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
なんと言っても変わっているのが、まんなかのパロマだ。
世界中のスノードームを集めていた。
母親がパロマに、スノードームをあげたのだった。
「おまえのお父さんはね、仕事で大きな街に立ち寄ると、おみやげに買ってきてくれたんだよ」
娘たちの父親は、パイロットだった。
ある日、嵐のバミューダ海域上空を操縦中、消息を絶った。
それ以来家族は、キャピトル通りのアパートから、どこにも出かけなかった。
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