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鮮やかな色づかいに驚きます。アフリカのマリに伝わるお話

| 2017年04月02日 02:00 | 吉村正臣 |

Frédérick Mansot フレデリック・マンソ(フランス)

Bakari et ses dix frères
バカリと10人の兄

bakari表紙

フランス語 翻訳付
出版社:Editions Belin

フレデリック・マンソは、優秀なイラストレーターを輩出する、リヨンの美術学校エミール・コールを卒業しました。イラストレーターとして、20年近いキャリアを持ち、数多くの絵本を出版しています。現在はリヨン郊外に住み、創作活動とともに、母校エミール・コールの教授として、後進を育成しています。イラスト・ユーロでは以前、彼の絵本WAKANDA ET LES RÊVES VOLÉSを紹介。販売中です。

本の装丁、見開きページごとに変化する鮮やかな色づかいに驚きます。アフリカのマリに伝わるお話です。表紙・裏表紙をめくると、アフリカらしいモチーフが描かれています。

主人公の青年・バカリは、11人兄弟の末っ子です。村長の息子ですが、兄たちより小さく、父親である村長は、バカリやバカリの母に冷淡です。それでもバカリは兄たちよりいっしょうけんめいに働きます。

父親が亡くなり、次期村長を競馬で決めることに。さらに周辺一番の美女をめぐり、11人の兄弟は畑の整備で競います。運悪く、くじでいちばん広い畑をひいてしまったバカリでしたが…。homme grand(体格のよい男)とgrand homme(立派な男)は、語順を変えただけなのに、まったく別物であることを、この絵本は教えてくれます。

キャンバスの上にアクリル絵の具でしょうか、自由奔放に、色彩豊かに描かれています。細筆、太筆でしっかり塗り込み、そして時に、淡く塗り、削り取ったりして、多彩な手法で描いています。上塗りから透ける下塗りが深さを感じます。動物たちがていねいに描かれ、服の模様や木や草の図形化がめずらしい。物語がアフリカを舞台にしていますから民族的です。おおらかさは日本の民話の絵本を見ているようです。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

現在は、アフリカ・マリ共和国となっている土地でのお話です。これ以上ないというほど、人里離れた不便な場所に、小さな村がありました。村長には11人の夫人が仕えていました。11番目の夫人・カディアトゥは、他の夫人たちよりも不遇でした。
夫人たちにはそれぞれ、体格のよい息子がいました。父親である村長は、息子たちに、土地を耕すための鍬と馬を与えました。ただし、からだの小さなカディアトゥの息子・バカリは、素焼きのわれやすい小さな鍬と、馬のかわりに年老いたヤギしか、もらえませんでした。

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