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釣り人を、濁りのない色彩、テキスタイルのような美しさで描く

| 2016年01月08日 10:17 | 吉村正臣 |

Rémi Saillard  レミ・セイヤー (フランス)

Le chapeau et c’est toujours la même histoire
帽子-やっかいごとはくりかえす

R士i Saillard 表紙

フランス語  翻訳付

出版社:Syros

ストラスブールの高等装飾美術学院を卒業し、広告代理店で仕事をします。作品が雑誌や新聞に掲載されるようになり、その後、絵本作家になります。これまでに数多くの絵本を出版しています。

風で飛ばされた山高帽をめぐる、詩のようなお話。タイトルのc’est toujours la même histoireは「いつも同じ面倒が起こる」といった意味です。フランスの国民的歌手エディット・ピアフが、アルバム”De L’autre Côté De La Rue” (1956) で、絵本と同じタイトルの歌 c’est toujours la même histoireを歌っていました。(https://youtu.be/2zs9tIZ4ois)

帽子が飛び、小川に流れ、そして海に行く、その行程を、そして海での出来事を描いています。すべての絵に共通して「線」が描かれていますが、直線、曲線、斜線、垂直線、流れているように美しい。日本にも古くから流線とか波文様など、線の美しい美術品がありますが、この絵も一種東洋画的な美を感じます。堅い板の上にしっかりと下塗りをし、鮮やかな絵の具で仕上げています。上塗りが乾かないうちに、鉄筆のようなもので線を引き、下地の色を出し、また、これを輪郭として、新たに色を入れていく…そんな描き方かなと想像します。染めや織物のような美しさがあります。静かで透明感のある作風です。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

今度は、カエルのお話
小川の岸で夢を見る
旅に出る夢
いつか海に行く夢
「いいなあ、海。波がうねる…」
いい気分だったそのとき
さかさまになって水に浮かぶ帽子が
ほらそこ、目の前に

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