2015年イタリア・アンデルセン賞、ノミネート作品です
| 2016年03月27日 11:46 | 吉村正臣 |
Daniela Iride Murgia ダニエラ・イリーデ・ムルジア (イタリア)
Kyrielle des histoires à retrouver…
お話がいっぱい
フランス語 翻訳付
出版社: ALBIANA
1969年イタリア・サルデーニャ島生まれ。ヴェネチア大学で東洋美術を学び、パドヴァ大学でイラストレーションの学位を取得します。舞台美術や現代美術の世界でイラストレーション作品を発表。2010年イタリアイラストレーター協会の年鑑に作品が掲載されます。2012年スペイン・コンポステーラ国際絵本賞ノミネート。
2012年、2014年 ILLUSTRARTE(リスボンイラストレーションビエンナーレ)に入選します。この絵本は2015年イタリア・アンデルセン賞にノミネートされました。
フランスの南・コルシカ島の出版社によるものです。誰もが話すことをやめたような沈黙の村に、曲芸師とガチョウがやってくる。このコンビが「ことば」を投げかけたとたん、人びとの口から次々と、お話が出てくる。互いに話すことがなかった人たちが、自分の過去や思い出を語りだす。村人の話は、ときに哲学のようでもあり、その人の人生があふれる内容となっています。知らない人に、自分の知らない話を聞いてみたくなります。
とても不思議な絵です。シュールレアリストかな・・・。わき出るイメージを画面に次々と定着していったようで、テキストを読むと絵が理解できます。やや哲学問答的かな。構成と絵の持つ物語性が、独特で印象的でしょう。殺したようなブルーを基調にした色合いがいいですね。紙の目、エッチングのような細い線、布刺繍の目、そしてパステルや絵の具がミックスされていますが、良くまとまり東洋的静けさを持ちます。なかなか個性的な作家です。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
話すことは、生きること。
話してくれたら、誰かが話してくれますよ。
話してください。もっと聞かせて。
うそでもいいけど、ほんとのことなら
それはすてき。
むかしは、魚が空を飛び交い、ラディッシュが木に実っていて、話も風に乗って旅をしたんだ。おもしろおかしい話をたくさん作ろうと、ことばをまぜあわせた。ことばは音楽といっしょになった。人間や動植物を、ほっとさせるような音楽と。
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