奇妙も、慣れてしまえばあたりまえ。ユーモアあふれるお話
| 2019年01月09日 23:30 | 吉村正臣 |
Marie Dorléans マリー・ドルレアン(フランス)
C’est chic !
これ、いただくわ
フランス語 翻訳付
出版社:Seuil Jeunesse
文学と美術史を専攻し、文章を書くことに目覚めたそうです。その後、著名なイラストレーターを輩出するストラスブール装飾美術学校でイラストレーションを学び、2010年に卒業。絵本デビュー作 L’invitéでいきなり注目を集めます。2012年に出版されたLa tête ailleursは、パリ郊外の都市・ナンテール市の最優秀絵本賞を受賞。ありふれた日常を、独特の視線で見つめ「ありえそうで、ありえない」できごとを描くのが得意としています。この絵本が最新作。テキストとイラスト両方を手がけています
広場にある商店で売っているのは、どこにでもあるものばかり。売り子は声を出し、販売につとめますが、通行人は見向きもしません。ある日、太陽の強い光を浴びたせいか、商品の名前をすっかり言い間違えてしまいます。靴はコーヒーカップに、掃除機はペットに、浴槽はベッドに、キャセロールは帽子に。それを聞いた通行人、初めて聞く商品に殺到し、奇妙だと思いつつも「これでいいのだ」と受け入れます。奇妙も、慣れてしまえばたりまえ。ユーモアあふれるお話です。
とてもオシャレ。ファッショナブルな絵を描きます。人々は、理想的なプロポーションで、キレイな体型。洋服、髪型も素敵、細い線で精密に描いています。輪郭だけ引くのではなく、洋服の模様も、髪一本一本も、植物の茎・葉も線で。板の木目、影も線描き。絨毯は点描画のように短い線を密集させています。そして必要な部分だけに色が入り、清潔感があります(DTPソフト:イラストレーター使用か?)。さっと伸びた足、高く付きだした腕、画面に躍動感があります。
<翻訳の一部> 翻訳:泉りき
がんばっても、通りがかりの人を買う気にさせるのは、むずかしい。
すでに持っているものばかりだから。
それでも売り子は、呼び込みをやめたりしない。
「裏地付のコート、金メッキのボタン、スープ皿、ベルベットのじゅうたん。どうぞ、いらっしゃいませ」
万事この調子だったが、ある日のこと。ぎらぎらの熱い太陽で、売り子は頭がくらくら。そのせいで、ことばが大混乱。商品名がごっちゃになって、言い間違えばかりする。
「泡のこし器、コーヒー用の靴、ペットとして飼う掃除機、バッグがかぶる帽子、雨用じゅうたんは、いかがですか?」
通行人はびっくり仰天。思わず振り返る。
この絵本のお問い合わせは:http://illust-euro.ocnk.net/product/300
ご販売・発送は『下北沢 pecheペッシュ』となります。