オーレリーの特徴が発揮された、シンプルでありながらも深い絵
| 2015年05月11日 09:00 | 吉村正臣 |
Aurélie Blanz オーレリー・ブランツ(パリ在住)
Le Mystérieux Monstre Poilu
もじゃもじゃ怪物・ガストン
フランス語 翻訳付
オーレリー・ブランツの最新絵本です。オーレリーは、ドイツ生まれ。ハンブルグでイラストレーションを学び、さらにパリの装飾美術学校を卒業。現在もパリに住み、イラストレーターとして絵本、カレンダー、壁紙などの制作をしています。なおイラスト・ユーロでは、オーレリーの原画も取り扱っています。
物語の主人公は、群れから離れ、山で暮らすヒツジ。孤独を満喫していたはずが、さすがに寂しくなり、出会いを求めてあたりをうろうろ。道の途中で偶然、負傷した動物を見つけます。一方、山には最近、恐ろしい怪物が出現するとの噂で持ちきり。そのせいで、何より恐れられていたオオカミさえ、姿を消したようです。
絵は、風景、木々、動物たちが、各ページにシンプルに構成されている、また、紙の白場の単純なシーンなのに、結構しっかりした奥行き感のある絵となっています。
それは、絵の具が重厚に塗り込まれ、色に深さがあるためでしょう。雪の白い色は、表面を白く塗るまでに幾層も他の色が重ねられています。そのため、いかにも深く積もったような、厚さを感じます。空の深さも、山肌も。このシンプルでありながらも深い絵を描くのが、オーレリーの特徴です。動物たちのデフォルメも楽しく描かれています。
この絵本の取り扱いは終わりました。