100のシーンを設定、男の100種の顔を描きました
| 2017年05月11日 00:52 | 吉村正臣 |
Ghislaine Herbéra ジスレーヌ・エルベラ(フランス)
monsieur cent têtes
百面相
フランス語 翻訳付
éditions MeMo
イラストと文を制作したジスレーヌ・エルベラは、フランスの南東部・ピレネー・オリエンタル県出身。現在はパリ在住です。マルセイユとトゥールーズ、二つの美術学校で学びました。10年間にわたり、さまざまな劇団の舞台美術や装飾を担当。舞台背景のシルクスクリーン、衣装、仮面や人形を制作しました。その経験が、絵本にも生かされています。2009年からイラストレーターとして活動を開始。その才能はすぐに頭角を現します。2010年この絵本Monsieur cent têtesが、モントルイユ絵本市で新人賞を受賞。2011年にはボローニャ絵本原画展のボローニャ・ラガッツィ新人賞を受賞しました。
イラスト・ユーロでは、彼女の最新作Sorcière blancheも、販売しています。
恋人と会うことになっている男性が登場します。クローゼットから次々と「顔」を取り出し試します。不安、怒り、希望に満ちた笑顔…男性の感情の変化が、顔で表現されます。最後に恋人がやってきて、男性は試着をおしまいにします。
この絵本に登場するさまざまな「顔」は、世界中の100の仮面を参考に、作家が創作したものです。巻末の一覧表をご覧ください。仮面の地域的、民族的な起源がわかります。日本からも能や狂言の面が紹介されています。
一人の男が、さまざまな状況を思い、それにあった顔を想像します。その場面での、男のつぶやきを示し、その状況を表現する100種の顔を描きました。男の声を仮面のような顔で、さまざまに表しています。白い部屋で、動作する男の黒いシルエット、顔だけが色彩を用いて描かれます。しっかり地塗りをした白い壁、床を背景に、ユニークで、奇妙で、おかしい顔が、達者に筆で描かれる。シンプルながら、よく描かれた秀作です。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
夜が明け新しい一日が始まると、男が思うのはただひとつ。
美人の恋人と二人きりで、すべてがトントン拍子にいく、おあつらえむきの顔が必要だ。
ちょうどぴったりの手袋みたいに
だってどの顔も、自分にしっくりこないから
これじゃ丸すぎるし、これは暗すぎる
ちょっと長すぎる
とても自分だとは思えない
弱気になってしまう
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