仏の県で’17年に赤ちゃん誕生の約2万世帯に、この絵本が贈られる
| 2019年12月03日 20:33 | 吉村正臣 |
Michel Galvin ミシェル・ガルヴァン (フランス)
Rouge
赤い石ころ
フランス語 翻訳付
出版社: ROUERGUE
パリ高等美術学院(ボザール)在学中、オーストリアの作家クービンや米国の漫画家スタインバーグの影響を受けます。卒業後はイラストレーションと絵画に専念し、雑誌や日刊紙に作品を提供。’06年から絵本を描くようになります。’14年出版の絵本La Vie rêvéeは、モントルイユ絵本市「アルバム部門」で優秀賞を受賞しました。
パリ郊外のヴァル=ド=マルヌ県では、’17年に赤ちゃんが誕生予定の21,000世帯に、この絵本が贈られる予定です。絵本に登場する赤い石ころは、最初は名まえさえありません。そのうちに、他の仲間に加わり、少しずつ自分の長所や個性を見いだし、かけがえのない存在となり、認められていきます。生まれてくる赤ちゃんへ、かけがえのないひとりの人間として成長してほしい、そんな願いをこめて、絵本が贈られるのでしょう。
赤い石ころのほかにも、さまざまな大きさや重さ、色、特長のある小石や木切れが出てきます。この絵本を読むフランスの子どもたちは、登場するたくさんのものの中に、自分や友だち、同じクラスの子のことを見いだすそうです。「ひとりでは何もできないけど、いっしょに考えやってみると、アイデアが見つかり問題を解決できる」「新たな環境や世界では、最初、誰も自分を知らないけれど、いっしょに何かをすることでうちとけて、自分もその中の一員になれる」強いメッセージを感じます。
書店で、少し不思議な感じを持った絵本です。人や動物、植物などのシーンがまったくありません。石ころと棒のようなものだけが描かれています。そこが新鮮さとともに奇妙だったのです。不透明水彩で板か厚紙に暗く深く下塗りし、イエローオーカー(黄土色)系ですべての絵の地を塗りました。そこにカラフルにオシャレな色で描いています。厚塗りながら、シンプルな画面となっています。粉をふくような質感があります。絵のしっかりした人です。
<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき
あっ! ちっちゃな石が転がってる!
ころころ ころころ
どうやら、ひとりぼっちみたい…
あっ、ひとりぼっちじゃないんだ。仲間が、そばにいる!
バラボス、ティベル、ノノス…そしてほかにも
木切れのカションヌもいる。
すくっと立って、なんだか大きいね!
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