「神童」と呼ばれ、ずば抜けた美声を持つベルノンでしたが
| 2017年05月17日 03:00 | 吉村正臣 |
Gabriel Schemoul ガブリエル・シュムル(フランス)
Le Chant du Marais
パリ・マレ地区-最後の歌声
フランス語 翻訳付
出版社:Editions Chandeigne
パリと南仏を行き来し活動しています。パリのエコール・エスティエンヌでイラストレーションを学びました。絵本作家としてAnnette(2015年)、バンド・デシネ作家としてRyoshi(2009年)を出版しています。またバンド・デシネ作家でありアニメ映画の監督ジョアン・スファールの作品で、2006年アイズナー賞最優秀国際作品にも選ばれた『ラビの猫(Le Chat du Rabbin)』のキャラクターデザインを担当しました。
フランスを代表する文学者パスカル・キニャールの作品を、若手のバンド・デシネ作家が描く異色の顔合わせが、大きな話題を呼びました。
パリのマレ地区では毎年3月、少年たちの歌唱コンクールが開催されていました。「神童」と呼ばれ、ずば抜けた美声を持つ9歳のベルノンでしたが、プロテスタントのため、1581年のコンクールに参加できませんでした。その年の優勝者は、カトリック出身の美少年マルセラン。ある日ふたりは出会います。変声期への不安とベルノンへの嫉妬にかられたマルセランの生きざまが、カトリックとプロテスタントの宗教対立が激化する16世紀のフランスを舞台に、緊張感のある絵と文で描かれます。
店頭で、一瞬、古典本かと思いました。まるで黒い漆塗りに金で描かれたような表紙。裏表紙に絵が続き、中世の服をまとった人が大きく描かれています。そして、中の各ページも深みのある漆黒で、わずかな色合いで、繊細しかも精密、まるで日本画のような画法で植物や昆虫などが表現されます。日本の漆器の模様のよう。文字ページも黒に抜き文字、少し金色に近い色が入っています。物語の説明画でなく、感じさせる絵、プロの作品ですね。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
6世紀のパリ・マレ地区。毎年3月のおわりになると、歌唱にすぐれた子どもたちが競うコンクールがありました。声変わりする前のボーイ・ソプラノを好む人は、このコンクールを聴きに行きました。お気に入りを見つけたり、出場者の中でも、とりわけ優秀な子たちを自身の合唱団にスカウトするためです。
1581年。「神童」と呼ばれるベルノンは当時9歳で、その美声は際だって有名でした。しかし受賞歴はありません。それはベルノンが、プロテスタントの家系だったからです。教師は、翌年のコンクールに、ベルノンを出場させませんでした。その結果、マルセランが優勝しました。パレゾーという村の出身の、美貌の少年でした。
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