日本で絵本が紹介されることを楽しみにしてくれています
| 2021年09月03日 05:00 | 吉村正臣 |
Joseph Vernot ジョゼフ・ヴェルノ (フランス)
La clé d’or
金の鍵
フランス語 翻訳付
出版社:Editions Chocolat Jeunesse
フランス東部フランシュ=コンテ地方出身。地元オート・ソーヌの美術学校で学びました。幼いころから本が好きで、好きな物語を自分で絵にしたりしていたそうです。ブザンソンで美術教師をしていた2012年、フランスの漫画作家ナンシー・ペナとの出会いが、イラストレーターとなるきっかけになりました。2014年彼女との共作で、絵本La Terrifiante Histoire et le Sanglant Destin de Hansel & Gretelを出版。デビュー作品となりました。どこか懐かしさが漂うイラストは、印刷技術が大きく発展した19世紀後半の画家たちアーサー・ラッカム、ハリー・クラークなどの影響が感じられます。
グリムのお話です。冬の寒い日、薪を集めに出た少年。外は雪が降り積もっています。何とか薪を手に入れましたが、このままだと家に着く前に、凍えそう。そこで集めた薪を少し燃やして暖まろうと考えます。そのとき、地面に金の鍵を見つけました。この鍵が物語の中心です。絵本の表紙に描かれた金の鍵。その鍵が合う鍵穴は?絵本で見つけてください。
白い紙面を大きく使い、黒をベースに、限られた少ない色で描いています。主人公の少年は、切り絵のように平面的に表現、色は重ねたりにじませたりすることはありません。PCで描いています。そして、動物たち、鳥の羽、魚の鱗はとても細かく写真のよう、また、木の幹は一部細い線で描かれています。このアンバランスさが、不安な気持ちを起こします。物語にふさわしい不思議な絵です。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
地面に雪が降り積もった冬の日、貧しい家の男の子は、ソリを出し、外で薪を集めなければなりませんでした。
薪を集め、ソリに載せ終えると、あまりの寒さで凍えそうでした。男の子は思いました。「このままだと、家に帰る前に凍えてしまう。少しばかり薪に火をつけて、暖を取ろう」
そのために雪をかきわけ、地面の雪をはらっていると、小さい金の鍵を見つけました。
「鍵を見つけたってことは、鍵穴がついたものが、近くにあるのかも」。男の子は、探すことにしました。
するとしばらくして、鉄の小箱が見つかりました。「鍵がうまく合うといいな。箱の中にはきっと宝物がはいっているだろうから」
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