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このデビュー作で、さっそくパリ絵本市で最優秀絵本賞ノミネート。

| 2021年11月15日 07:00 | 吉村正臣 |

Marie Mirgaine  マリー・ミルゲーヌ (フランス)

Kiki en promenade
キキは散歩中?

フランス語 翻訳付
出版社:Les fourmis rouges

 

マリー・ミルゲーヌは、フランスのイラストレーター。HEAR ストラスブール(旧ストラスブール国立高等装飾美術学校)でイラストレーションを学び、2015年に卒業しました。現在もストラスブールで活動しています。コラージュ、水彩絵の具、立体など技法を織り交ぜて作品を制作します。ニューヨーク・タイムズやフランスのコミック誌 Biscoto journalでの作品発表や書店のショーウィンドゥデザイン、舞台装飾などさまざまな分野で活動中です。この本は2019年9月に出版の、彼女のデビュー絵本。さっそく同年12月のパリ(モントルイユ)絵本市の最優秀絵本賞にノミネートされました。

ジュリアンは、犬のキキを散歩に連れ出します。キキを連れているはずなのに、いつの間にか次々に登場する動物を連れ、散歩させる羽目に。ジュリアンはそのことにまったく気づいていません。そしていつの間にかキキが戻り、ジュリアンはキキをたっぷり散歩させたと大満足で家に戻ります。ページをめくるごとに、シンプルでありながら緻密な描写が物語を展開させます。はじめはキキを連れていたジュリアン。知らないうちに、思いもよらぬ動物と散歩している楽しさがあります。絵本とコミックの要素があいまっています。

単純でコミカルな物語を表現するために、シンプルで、必要な絵だけで構成しています。白地に大胆な主人公、見るだけでも理解できます。
しかし、描き方は、とても複雑。別の用紙に絵の具で各パートを描きます。筆のタッチを出したり、ぼかし方法を使ったり、様々な素材でスタンプして作ったり。組み合わせて人物や動物、草花の形にします。ときにはその上から直接手を加えている部分もありそう。いろんな手法が効果的に使われ、その緻密さから作者の熱意が感じられます。

<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき

ジュリアンは、犬のキキを散歩につれていく。
「行くぞ、キキ!」
ジュリアンは、知らない間にワシをつれている。
ジュリアンは、今度はトラをつれている。
ジュリアンは、コウモリをつれている。
ジュリアンは、オオカミをつれている。
ジュリアンは、タコをつれている。

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