40点の鳥たちが登場、版画で下絵を制作、筆で色を入れました
| 2020年10月11日 17:23 | 吉村正臣 |
François-Nicolas Martinet フランソワ=ニコラ・マルティネ (フランス)
Volière – Oiseaux de paradis
巨大な鳥かご-楽園の鳥たち
フランス語 翻訳付き 出版社:BnF Éditions
フランソワ=ニコラ・マルティネ(1723-1806)は、フランスの版画家です。人間や社会や自然への関心が高まった18世紀のフランスでは、さまざまな図鑑が出版されました。その挿絵のための版画の下絵を描いたのがマルティネです。動植物の描写にすぐれ、そのすばらしさは、装飾としても人々をひきつけました。この本には、彼が下絵を描いた40点の鳥たちが登場します。
フランス18世紀の博物学者ビュフォン監修の『一般と個別の博物誌』。1749年から50年以上にわたって刊行された全44巻の百科事典です。その中の<鳥類の博物誌>は、マルティネの巧みなデッサンと色の豊かさで、シリーズの中でも特に人気となりました。
装飾性の高い鳥のイラストは、当時の国立セーヴル磁器製作所の陶器の絵柄にも採用されたほどです。
<鳥の博物誌>シリーズ掲載の全1,008種類の鳥から40種を選び、今回ブックレットとして出版されました。親しみやすい鳥、エキゾチックな鳥…その色鮮やかな挿絵は、現代の私たちをも魅了します。
12×16.8cmの小さな絵本。ボローニャ国際児童図書賞ノンフィクション部門にあたいする作品でしょう。ただ、これが約250年前に制作されたものとは思えないシャープさです。さらに、版画に筆で着彩されているとのことで、繊細でありながら筆のタッチがあり身近な感じがします。この絵本はオフセット印刷ですので版画の味わいはありません。しかし、鳥たちの明細な様子、色彩が爽やかで美しい。日本画のようです。
《翻訳の一部》 翻訳:泉 りき
ビュフォンはまず挿絵(イラストレーション)の制作から開始。説明文がなく、順序も正確でない24枚の冊子形式で、木版画で鳥を描いた本を出版します。(注1)
ビュフォンはやがて、木版画に伝統的な着色を施す方法に興味を持ちます。その手法で<鳥類の博物誌>の1,008点の彩色版画を80人足らずの装飾家たちで完成させました。フランソワ=ニコラ・マルティネ(1723-1806)の下絵と版画に、装飾家が着色するのです。この手法で、色が見事に表現できました。
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