透明水彩絵の具を知り尽くした、ベテランの絵です
| 2021年03月17日 10:03 | 吉村正臣 |
Beatrice Alemagna ベアトリーチェ・アレマ-ニャ (イタリア)
UN GRAND JOUR DE RIEN
特別な一日
フランス語 翻訳付
出版社:Albin Michel Jeunesse
イタリア・ボローニャ生まれの絵本作家で、イラストレーター。1996年パリ郊外・モントルイユ絵本市で新人賞を、2006年ボローニャ絵本原画展で、ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞を受賞。これまで制作した20冊以上の絵本は、フランス語を中心にさまざまな言語で出版されています。絵本Un lion à Paris(パリにきたライオン)は、イラスト・ユーロの読み聞かせ会でも好評でした。
主人公の少年は母親と二人、休暇のために別荘にやってきます。母親とあまりうまくいってないのでしょうか。外は雨降り。少年には、ゲームだけが唯一の過ごし方のようです。ところが頼みのゲーム機を池に落としてしまいます。何もかもがつまらないと思っていましたが、雨の中を歩き回り、これまで見たこともなかった自然にふれ、少年の心は変化していきます。そして家に戻り、けんかばかりの母親と、向き合おうとします。
透明水彩絵の具は塗り重ねることによって、色が濁り、そして暗くなります。しかし、下塗りの色を生かして上塗りをすると、深さが出ます。その濁り方や深さを計算して描かれています。用紙もクリーム系を使い深さを増しています。とくに、光線がさすハイライト部やあかるい部分は計算がいきとどいています。暗い中で、蛍光のオレンジを使い、絵を引き立たせています。達者ですね。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき
そこにいるのは、ぼくとママのふたりだった。
ふたりだけになって2度目のことだ。
以前と同じ別荘、いつもの森、そしていつもの雨。
ママは、来る日も来る日も机に向かっている。
でぼくは、宇宙人をやっつける。
何時間ものあいだ、ゲーム機のボタンをひたすら押す。
ボタンを押しながら、にこにこしているパパを思い浮かべる。
パパならぼくを外へ連れ出して、いろいろなものを見せてくれるのに。
ママがまた文句を言う。
「いいかげん、ゲームをやめなさい。何にもしないで、また一日、むだにする過ごすつもり?」
すみません、売り切れました。お取寄せいたします。
お届けには1ヵ月あまりかかります。あらかじめご了承ください。
この絵本の取寄せは:https://illust-euro.ocnk.net/product/340