エレベーター暮らしで気づいた“人生には浮き沈みがあるって”
| 2014年03月21日 16:46 | 吉村正臣 |
Mariona Cabassa マリオナ・カバサ(スペイン)
La vie a des hauts et des bas
毎日、上がったり、下がったり
フランス語 翻訳付き
6人に1人が、劣悪な住宅環境で生活するフランス。スペインも同じような状況です。そんな住宅問題を描いた絵本です。家賃が高くて、部屋を借りることができない家族は、何とエスカレーターで生活。とてもユーモラスに描きました。
しっかり下塗りをし、仕上がりの絵をきちんと想定した上で、最後の色を塗り上げています。下地の色や模様が、きちんと生かされ、それが上塗りを美しく見せています。きっと、仕上がりの絵を描いた上で作画しているのでしょう。一見、大胆に描いているようですが、とても細部まで神経を行き届かせています。例えば洋服やネクタイの模様です。そのほか『こんなところにこだわっているな・・・』と探してみると作者の気持ちが分かると思うのですが、いかがでしょうか。筆使いの上手な作品です。
作者は、スペインのイラストレーター。バルセロナのマサナ学院でイラストレーションとグラフィックを学び、首席で卒業。フランスに留学し、ストラスブール装飾美術学校とマルセイユの美術学校で学びました。2003年カタロニア・イラストレーター協会から賞を授与されたほか、2005年ボローニャ国際絵本原画展「スペイン特集」でも、作品が紹介されました。
<翻訳の一部> 翻訳:泉りき
今となっては笑い話だけど、うちの家族は、僕も含めて10年以上、あてもなく部屋探しをした。
結果、家賃はあまりにも高すぎて、パパの給料ではムリだとわかった。家がなくて最悪なのは、住む場所を移動するたびに、家具やソファはもちろん、ドアや壁、煙突や屋根まがいものを、いちいち持ち運ばないといけないことさ。
住所不定だから、一切、請求書を受け取ったことがない。パパはきちんと払いたい性分なので、そのことでずいぶんイライラしていた。部屋探しをしながら、パパはある日、世間の人みたいに、家族が集まり、郵便物を受け取れるよう、住所不定からの脱却を思いついた。
うちの家族を見ればわかるけど、倹約家ってほうじゃないな。もともと使うお金もないし。で、パパはなんと、僕たち家族を、55番地にある、街で一番豪華で、とにかく大きなアパルトマンに連れて行き、エレベーターにのせたんだ。
なんとも広々としたエレベーター。入ったとたん、パパが一言。「よし。今日からここに住むぞ」。
あの一言は、ずっと忘れないさ。
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すみません、売り切れました。
フランスで流通在庫はあるようですが、価格、コンディションが不安定なため
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