スペインの若手作家の中で最も才能ある一人とされています
| 2024年07月06日 00:00 | 吉村正臣 |
Ximo Abadía シモ・アバディア(スペイン)
Goliath -Un garçon pas comme leas autres
-ゴリアテ-みんなとはちがう男の子-
フランス語・翻訳付
出版社:LITTLE GESTALTEN
1983年、地中海に面する港湾都市であるスペイン・アリカンテ生まれ。幼い頃からコミック、スーパーヒーロー物語、アンダーグラウンド雑誌を読んでいた。18歳の時、体育を学ぶためにマドリードに、絵を描くことへの情熱を捨てきれず、学位取得の最後の年にマドリードのESDIPでエディトリアルイラストレーションとコミックを学びました。2017年にボローニャ国際絵本原画展の国際賞に入選。2019年にはニューヨークタイムスとニューヨーク公共図書館から賞を授与。現在、スペインの若手作家の中で最も才能ある一人とされ、世界中で15冊以上の絵入りアルバムを発表しています。
主人公の「ゴリアテ」は、大きくて、とても背が高い。同年代の子供たちの誰よりもずっと大きい。友達も遊び相手もできません。ゴリアテは孤独を感じ、自分の居場所を見つけるために、故郷の村を離れ旅に出ます。その冒険の中で、彼は海と出会い、太陽と出会い、最後に月が、人はみな違っていて、それが個性であることを教えてくれます。誰もが違っていて、いいのだ!どんな姿をしていても、尊重される!そんなことを気づかされてくれる絵本です。
ちなみに「Goliath」は旧約聖書中の人物・ペリシテ人の巨人の名前。ペリシテ軍がサウルの王国 (イスラエル) に侵入した際,イスラエル側のダビデとの一騎打ちにより倒されたペリシテ側の英雄。
絵は細部が省略された大胆なイラスト。しかしなかなか繊細さもあります。手書きの良さ、さらには色の版を重ねたりずらしたりしたような、色の重なり。黄色をベースに、オレンジ色のGoliathの動きは、ノスタルジーを感じます。とてもあたたかで人柄を感じさせます。
文字は少なく、読み聞かせに適した絵本でしょう。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
知っていた。ぼくはみんなと同じじゃない。
背が大きかった。
ただ、みんなと同じになりたかった。
ぼくは誰とも同じじゃないから、ぼくの居場所はなかった。
ぼくはからだが大きかったし、力も強かった。だからボクサーになれるかもと思った。
だけどぼくが大きすぎたから、対戦してくれる人はいなかった。
わかっていたけど、ここにはぼくみたいな人はいない。
この街を離れざるをえなかった。
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