エッチング(銅版画)のすばらしさが、楽器を身近にした
| 2014年02月16日 12:42 | 吉村正臣 |
Bernadette Moens ベルナデット・モワンズ (ベルギー/ローマ在住)
Les fantaisies de Mélodie
気まぐれメロディ
イタリア語/フランス語 翻訳とお話 付き
線の鋭さ、強引なデフォルメ、モノクロの大胆さがとても魅力です。物怖じしない、勢いがあります。直接、手の流れで描かず、エッチングにして表すから、腕から伝わらないぎこちなさというか、不器用さが、かえってフォルムのおもしろさを引き出しています。銅板に切り込んだ線が胸に突き刺さってきますね。ムダなおしゃべりを廃した素晴らしい作品です。
この絵は2006年「ボローニャ国際絵本原画展」で発見。08年にフランスで出版されました。絵を描いたときは、ローマのヨーロッパ・デザイン学院在学中で、イラストレーションとアニメーションを学んでいました。
現在もローマで作家活動をしています。絵本より、アート制作に転じているよう。もともとセンスのある人ですから、線のキレイな絵を描いています。
いろんな楽器が魅力的に描かれていましたので、翻訳に楽器のお話しも添えてみました。
その一部をご紹介しましょう。 翻訳とお話:Mar
P.2~3
Adagio ゆるやかに lentement (仏:ゆっくりと)
「アダージョ=ゆるやかに」ということで、少女は腰を曲げそっと動いています
絵の楽器チェロは、クラシック音楽においてたいへん重要な楽器のひとつです。オーケストラによる合奏や、弦楽四重奏、弦楽五重奏、ピアノ三重奏といった重奏の中では低音部を受け持ちます。独奏楽器としても重要で、多くのチェロ協奏曲(チェロ・コンチェルト)やチェロソナタが書かれています。ヴァイオリンやヴィオラとほぼ同じ構造ですが、低い音を出すために形全体が大きく、特に厚みがあり、エンドピンを床に立てて演奏します。
P.4~5
Allegro 快活に速く joyeux (仏:うれしい、楽しい)
「アレグロ=快活に速く」ということで、少女は飛び跳ねています。絵は、ギターですね。ギターのように弦をはじいて音を出す楽器を撥弦楽器(はつげんがっき)といいます。起源は古く、紀元前3000年頃、古代エジプトの時代に描かれた絵に、ギターによく似た楽器があるといわれています。
今使われているギターは14世紀頃スペインで生まれたとされ、今日の6本の弦を持つ楽器になったのは19世紀になってから。その後、改良され現在に至っています。
その他、トロンボーン、フルート、トランペット、バグパイプ、ハープ、サクソフォーン、ヴァイオリン、ピアノ・・・などが取り上げられています。楽しい楽器辞典風に仕上げました。
すみません、売り切れました。
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