レベッカ・ドトルメール特有のファンタジックな作品です
| 2024年02月20日 05:00 | 吉村正臣 |
Rébecca Dautremer レベッカ・ドトルメール (フランス)
La Tortue géante des Galapagos
ガラパゴス島のゾウガメ
フランス語:翻訳付
出版社:GAUTIER-LANGUEREAU
レベッカ・ドトルメール(1971年生まれ)は、プロヴァンス地方の都市ギャップ出身。すぐれたイラストレーターを輩出するパリの国立装飾美術学校を卒業。教授陣はすぐに彼女の才能を認め、イラストレーターになるように導きました。
彼女のイラストは通常、グワッシュで描かれます。彼女は早くから写真に興味を持っていました。イラストレーション作品に大きな影響を与え、特にライティングに重点が置かれています。1996年絵本デビュー。出版ごとに人気が高まり、2004年絵本L’amoureuで、フランスのすぐれた絵本に与えられるソルシエール賞に輝きます。その後は作品集が出版され、原画のコレクターも存在するなど、現代フランスを代表するイラストレーターです。
この物語は、動物・昆虫たちがカーニバルのために衣装を作ろうとします。主人公のテントウムシは、ガラパゴス島の巨大なゾウガメのぬいぐるみを作ろうと、大きすぎるため、作ってもらえる仲間を探します。犬や牛や、蚊・・・みんなから断られます・・・そしてカーニバル当日。テントウムシは絶賛される!どうしてでしょう?
物語は、1600年代に上演された演劇として描かれます。これらすべてがレベッカのフィクションのよう。表紙裏ページのいかにも真実のよう新聞記事もレベッカの演出のようです。
文章を説明するような絵にはなっていません。文字を思わせ、関連はありそうですが、不思議なシーンや擬人化された動物がリアルに描かれます。
ドラマチックで、大胆でありながら精密に描かれています。一部分一部分は正確なデッサン。人のような顔、体、動作がリアルです。その上で、ダイナミック、豊かな想像と現実のファンタジックな、この作家の独特の世界が描き出されています。アート作品、さすがスター作家です。
<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき
第1幕 シーン1
畑がある。遠くに葉のない木。草がまばらに生えている。セージ(サルビア)の小枝。
テントウムシはため息をつく。テントウムシの腹心・モスキートは退屈している。
テントウムシ(感慨深げに)「あと2日、あと2日よ、モスキート!」
モスキート(目を閉じて)「ん?」
テントウムシ「今年はこれまでにない衣裳がほしい。必ず手に入れる」
モスキート(片目を開き)「あっ、そう」
テントウムシ(したり顔で)「巨大なガラパゴス・ゾウガメの衣裳を」
モスキート(もう片方の目も開く)「ガラパ、何?」
テントウムシ「パゴス!」
モスキート(物思いにふける)「あぁ、ガラパゴスか!」
テントウムシ 「ご名答!!」
モスキート(からかうように)「ええーっ、大っきなガラパゴス・ゾウガメの衣裳を着るなんて。その小さいからだでどうするつもりさ?」
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