絵、文章、何度も行き来して、深い印象を得てください。
| 2023年09月07日 05:00 | 吉村正臣 |
Ronald Curchod ロナルド・クルショ(スイス)
人形遣いの森
フランス語・翻訳付
出版社:Editions du Rouergue
1954年、スイスのローザンヌ生まれ。17歳のときにローザンヌのセザール・レイのアトリエで修業を始め、独学でイラストレーションを学ぶ。
‘79年にトゥールーズでフリーランスのイラストレーターとして広告や産業界で活躍。’89年、ポスター・アーティスト、イラストレーターとして、より積極的な作品を発表、劇場のセットや衣装のデザインも手がける。国際的な主要イベントに選ばれ、賞を受賞。新聞や雑誌からの依頼も多い。アルバムの出版に加え、セリグラフの出版やギャラリーでの展示も行っています。2005年から国際グラフィック連盟のメンバーです。
イラスト・ユーロでは’15年に同作家の「la nuit quand je dors…(夜が来て)」を取り上げたところ、多くの問い合わせをいただきました。https://www.illust-euro.com/?cat=152
小さな人形劇の舞台を背負った人形遣いの男が登場します。町から町への旅の途中、男は氷の湖に閉じ込められたクマを助けますが、そのせいで手を凍らせ失ってしまいます。森の木こりの小屋に避難していると、助けたクマが出現。小さな少女(妖精)を残して消えます。妖精は劇中に登場する悪魔を演じ、人形遣いを助けます。森からの使者である妖精は観客を魅了し、森へと導きます。作者ロナルド・クルショによる森やそこに生きる者たちへの賛歌です。
テキストは詩のような文章が、物語を展開。絵のページの次に空白のページに現れ、ここに文章がレイアウトされています。まず、絵を見てイメージを沸き立たせ、そして文章に入ることをおすすめします。
これはとても特別な本。まず絵の深さ、青みがかった美しい色調で私たちを夜の森にいざないます。板の上に不透明水彩絵の具で描かれているようで、板の目がうっすらと見えます。だからでしょうか、画法はオーソドックスで、しっかりと深く塗られていますが、硬質な感じがして、とてもモダンな絵にしています。リアルな森の木々が、目を捉え放しません。
<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき
冬が来た。昨日は雪が降った。羊の毛に覆われたような遠くの風景。あるいはケーキの上の粉砂糖のような。ときおり鳥が飛び跳ね、小動物たちは毛で覆われたからだを丸くする。冷たく乾いた風が断続的に吹きつける。 長い冬眠の季節を迎える。けもの道をシカが通っていく。アナグマ、キツネ、オオヤマネコ、オオカミも。道は湖から、煙突からの煙でかすんだ村を通り、階段状の大きな広場につながる。ボートが停泊する岸壁を備えている。
お買い上げいただきました。
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