物語に、絵の色や線の表情に、優しく美しいメロディーが潜む

｜ 2018年08月07日 04:00 ｜ 吉村正臣 ｜

Gaëtan Dorémus ガエタン・ドレムス（フランス）

tout doux
限りなくやさしく

フランス語　翻訳付
出版社：rouergue

1976年、フランスのリール生まれる。絵本作家、イラストレーターです。ストラスブール装飾美術学校で学び、雑誌や新聞にイラストを提供。その後、絵本を創作するようになりました。2012年にニューヨーク・タイムズ・ベスト・イラスト・児童図書賞を受賞し、2015年にボローニャ国際絵本展の大賞ラガジイ賞を受賞しました。また彼はストラスブール装飾美術学校で2014年までイラストレーションを教えました。すでに約30冊におよぶ絵本が出版されています。

地球温暖化で、住まいの流氷がどんどん小さくなり、離れざるをえなくなったホッキョクグマの物語。静かに暮らせる場所を求めて旅立ち、そこで出会いが待っています。この地球に季節があることへの感謝と、すべての生きものが安心して暮らせるようにと願いたくなる一冊です。

色鉛筆、コンテ、水彩絵の具などで描かれたのかな、リトグラフのような仕上がり感もあります。いずれにせよ、とても柔らかな、そして細部まで神経の行き届いた、上手な絵です。この作家の優しさが溢れています。ブルーと紙の白のコントラスト、主要部に赤がいいですね。特に、線がシャープです。光を示す線、形を表す線、さらに、線を重ねて色面にする部分、巧みに描かれています。美しい線にご注目ください。

＜翻訳の一部＞　　　翻訳：泉　りき

あたたかい　　さむい

外はさむい　　中はあたたかい

寒そうな一軒の家　　でも中は温かい

照りつける太陽　　　暑すぎる

凍える夜
街が見える！

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ご販売･発送は『下北沢 pecheペッシュ』となります。