煙突掃除夫の日常を描いた、詩的な絵本です
| 2015年09月11日 09:00 | 吉村正臣 |
Gaëtan Dorémus ガエタン・ドレミュス (フランス)
VUE DES TOITS
屋根からの眺め
フランス語 翻訳付
出版社: SEUIL JEUNESSE
ガエタン・ドレミュスは、フランスの絵本作家、イラストレーターです。ストラスブール装飾美術学校で学び、雑誌や新聞にイラストを提供。その後、絵本を創作するようになりました。
屋根の上から、ちょっと哲学的な気持ちになって街のようすを観察したり、いくつもの煙や雲や風を感じながら、人生を考える…煙突掃除を仕事にする人の日常を描いた絵本です。
色彩がきれいな絵本です。とくにブルーが。繊細な階調で、深さがあります。淡い画面ながら、水平、垂直の鋭い線が、画面を引き締め、一種のリズムを与えています。ペンや色鉛筆、水彩絵の具で描かれています。
前景、中景、遠景の、距離の描き方が独特です。遠くに見える物は、塗り込んだ色面の本の一部に、線書きで示したり、少し色を入れたり。遠近がよくわかります。
人々の特徴がよくとらえています。大急ぎで走る様がよく分かります。思いきり足を伸ばし。前傾姿勢です。といって、身体の構造が著しく壊れているわけではありません。デッサン力のある人です。
<翻訳の一部> 泉りき
わたしゃ、煙突掃除人。
地上でもなく、空中でもない、屋根に上がって
煙突を掃除する。
煙突に詰まっていたすすが、丸まって出ていく…
すると煙が流れていく。
音も立てずに、煙が空に散るのを
屋根の上で見ている。
〜
ときには、赤いほおをした女性が
息を切らして走る姿や、
ぶ厚い雲や
どうでもいいことに怒ったり
地上でもなく、空中でもない、屋根の上から
次々とおこるできごとをながめる。
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