この絵本はデビュー作で、フランス国営テレビ局の絵本賞を受賞
| 2015年04月15日 10:48 | 吉村正臣 |
Edmée Cannard エドメ・キャナール(フランス)
Monsieur p’tit sou
ムッシュ・プチスー
フランス語 翻訳付き
イラストレーターのエドメ・キャナールは、フランス出身。ストラスブール装飾美術学校でイラストレーションを学びました。少女時代から詩人か画家になる夢を見ていたそうです。詩から豊かなイメージを発想し、色鮮やかな絵に仕上げていく、ロマンティックな作家です。
絵を描いた紙を切り、貼って制作したのかな? それとも、直接描いたのかな、それにしては、背景の絵の具の塗りは、たいへんていねいでオーソドックスなのに、描かれている事物があまりにもデファルメが激しい。大胆な変形のさせ方なのです。それに加えて、オレンジ色やグリーン、ピンクは目が覚めるような鮮やかさ。不思議な美しさがあります。
物語は、パリの土曜日。主人公のムッシュ・プチスーは、つつましく暮らしています。コートのボタンをなくしたことに気づき、わずかな硬貨を持って、ボタンを買いにノミの市に出かけます。日本風に言うなら「ひょうたんから駒」ですが、ここでは「ダチョウからボタン」というところでしょうか。
ムッシュ・プチスー(Monsieur p’tit sou)は、わずかなお金しか持っていない人の意味です。sou(スー)は、かつてのフランスのお金の単位で、今もくだけた表現として、使われることがあります。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき
月・火・水・木…曜日は順番にやってきます。 んっ?
4番目にあるはずの「木曜日」のボタンが、ないよ。
ムッシュ・プチスーは、あちこち探しましたが、家の中には見当たりません。
ちょうど今日は土曜日。パリはのみの市の日です。
あそこなら、木曜日のボタンを売っているはず。
大きなカバンに、1スー硬貨を3枚入れ
ムッシュ・プチスーは、出かけます。
パリの街を歩きながら、ムッシュ・プチスーは繰り返します。
「ボタンを買うこと。ボタンを買うこと。ボタンを買うこと。ボタンを買う…」
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