ゴッホが、弟テオにあてた手紙を絵本にしました
| 2016年09月18日 05:00 | 吉村正臣 |
Javier Zabala ハビエル・ザバラ(スペイン)
L’OISEAU EN CAGE
カゴの中の鳥
Vincent Van Gogh(弟あての手紙より)
フランス語 翻訳付
出版社:Versant Sud
ハビエル・ザバラ氏はマドリード在住。オビエド美術学校で、グラフィックとデザインとイラストレーションを専攻。’05年絵本Don Quijote de la Manchaで、’08年には絵本Santiagoでボローニャ・ラガッツィ特別賞を受賞。’12年国際アンデルセン賞の画家部門ファイナリストに選ばれました。’13年ブラチスラバ世界絵本原画展に入賞。スペインを代表するイラストレーターとなりました。この絵本は、’14年リスボンで開催されたイラストレーションビエンナーレIlustrarteに入賞・出品された作品です。
画家のゴッホが、かごにとじこめられた鳥の話を、弟テオに書いています。ほかの鳥のように外に出て、自由になりたいと願うが、それはかなわない…。この鳥こそ、当時のゴッホ自身なのです。さまざまな職業を経て、画家としての道を歩むものの、家族や周囲の理解が得られないままでした。この手紙が書かれたのは1880年。27歳で画家としてスタートしたころ。その後、パリに来て、南仏、パリ郊外と亡くなるまでフランスで生きた画家の、心の叫びが、この手紙に書かれています。
さすがに力のある作家です。多彩な画法が、自然に融合され、軽いイメージに仕上げながら重厚さを忍ばせています。直接、紙に描いた絵、シルクスクリーンのように塗り込んだ絵、他の紙に描き切って貼った絵、布に絵の具をつけ軽くたたきながら絵の具をつけたような絵など、さまざまに技法が駆使されています。その分、たいへん深い造形性を感じます。大型の絵本ですが、その大きな画面を縦横に使い、白地のページ、色ベタのページと変化し広い空間が示されています。小鳥の表情や子供の顔が、とても素敵です。優れた絵本です。
≪翻訳の一部≫
親愛なるテオへ
カゴの中の鳥にしたって、春になれば、何かがうまくいくように生きる必要があることなど、百も承知だ。
「するべきことがある」と鳥はわかっているのだが、できないのだ。
それは何だろう? 記憶はあいまいだ。 ばくぜんとした答えが浮かび、声にしてみる。
「自分以外の鳥たちは、巣をつくり、子づくりをし、ひなを育てる」と。
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