ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
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ニコレッタ・チェッコーリさん、新画風を確立。
イギリスで個展。

| 2008年12月05日 13:04 | 吉村正臣 |

このイラスト・ユーロを作った時からのメンバーで、当時からボローニャ国際絵本展で入賞を重ねる優秀な作家でした。2001年イタリアのアンデルセン賞で、最優秀イラストレーターに選ばれ、2002年にイギリスの出版社から出た「An Island in the Sun」が、米国コミュニケーション・アーツ優秀賞を受賞。世界に、その名が知れました。私も、そのころから数年間、一緒にお仕事をする機会がありましたが、小柄でチャーミングな女性で、しかし、芯の強い人だと思ったものです。
大変かわいく、美しい色彩の絵を出版社に提供する一方で、心象の物語を描いていました。ボローニャ国際絵本展に出す絵も、その傾向がどんどん強くなってきていました。

2007年夏ごろには、依頼される仕事量が度を超すようになり、眠る時間がない、描きたくないなどと、私に言っていました。そのことばかりが原因ではないのでしょうが、昨年、絵本の絵を描くことをやめると宣言。自分の好きな絵を、自分のペースで描いていきたいと、少し悲壮な連絡がありました。
私は、絵本の絵とは異なる作品を、何点も見せられていましたので、「今一番描きたい絵を正直に描いていくことが、もっともいいことではないか」といった返事をし、励ましたものです。

「春、ボローニャで会おうよ」とメールを送っても「行くかどうかわからない…」など、遠くでもない街に住んでいるのに、それはないだろうと思っていた矢先、久しぶりに、朗報を送ってくれました。
イギリスで12月13日から個展をしている、というのです。そういえば忙しくて自分の作品ができない…とこぼしていたことを思い出しました。また体調を壊して描けないでいるのか…など心配していたので、すごくうれしくなりました。創作をつづけていたんだと。
さらに、フランスのテレビ局が、彼女のドキュメンタリー番組を作るという。作品集が出る話も進んでいる。なんと、一層立派になっていたのです。

絵は、ますます、彼女の想像の世界にある物語が描かれています。夢の中のような世界、メランコリックと表現できるのか…に、少女の不思議な行為が描かれる。
昔の絵に描かれる風景、壁紙の色合いなど、古典的な背景の中に、ニコレッタの特徴がよく出た少女や、ギリシャ、ローマ神話に登場する怪物のような動物がかわいく表現され、ファンタジックな美しさと、やや恐ろしさを感じさせます。
イラスト・ユーロの収録作品を見ていただくと、変化してきた作風の経緯がお分かりになるでしょう。
これからも、ニコレッタにご注目ください。

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