黒紙を切り裂いて構成、とてもしゃれた文字のない絵本です。
| 2013年06月22日 12:06 | 吉村正臣 |
Sara サラ(フランス)
C’EST MON PAPA
私のおとうさん
フランス語
黒い紙を切り・裂き・貼って仕上げています。白い画面に、黒のみの構成(ほんのわずか色彩が入ります)でとてもしゃれた絵本です。黒紙は厚手で、切り裂いたときに紙の繊維が出たままを使い、黒の色彩的深さを出しています。墨絵ならこうはいかなかったでしょう。
たいへんデッサン力のある人で、体のカタチは骨格といいバランスといいしっかり表現されています。ピアノを弾くシーンでは、肘を張り背筋が伸び、両足がしゃんと舞台に立っているのが分かります。たいしたものです。コラージュされた楽譜がいいですね。この作品はお父さんがピアニストで、舞台に上がるときは緊張しているようですが、ひとたび演奏が始まると、聴衆をひきつけます。文字のない絵本ですが、ピアニストの心の移りかわりが伝わってきます。
1950年フランス生まれ、2005年、ブラチスラヴァ国際絵本原画展で児童書の分野で権威ある賞の一つ「黄金のリンゴ賞」を受賞しています。大ベテランですので、この他にもたくさん出版されています。