≪ちょっとお勉強≫ルネッサンス前の技法が、今に息づいている、 すごい!
| 2013年07月04日 12:43 | 吉村正臣 |
Bimba Landmann ビンバ・ランドマン(イタリア)
ビンバ・ランドマンは、1968年、イタリア・ミラノ生まれ。幼い頃に画家になる決意をし、ルネッサンス期の宗教画、さらにはルネッサンス時代の優れた作品を学んだようです。 さて、この代表的作品に描かれる「顔」が、イコン(キリスト教の宗教絵画)に描かれている「顔」ととてもよく似ています。
イコンについて、少しふれましょう。 キリストを始め、聖人、聖書の中の出来事を、たとえ話や物語化して分かりやすく描いた、宗教画像です。「イコン」と言えば正教会で用いられるものを示す場合が多いのですが、他の教派でも用いられ、カトリック教会では聖画像とも呼びます。描き方は、板面にテンペラ技法※で描くのが多いのですが、モザイクなどでも制作されています。 ルネッサンス前までは、画法様式が限定されていて、また、作画技術もまだまだ稚拙だったのですが、ルネッサンス以後、宗教絵画も変化しました。最も変化したのは、画法からの開放、技術的な面からは、空間の制作法が変わったと、私は思っています。
ビンバ・ランドマンの色彩や随所に金(色)を使う点も、イコンの画法に似ています。ただ、まねをしているわけではありません。タッチが軽やかで自由です。イメージも今日的で、たいへん広がりがあります。
古典をよく学んだ上で、ひとつの個性に昇華させた素晴らしい作風だと思います。
※<テンペラ技法>
西洋絵画技法の伝統的なものの一つ。本来は、顔料を水だけで溶いて描くフレスコの技法に対し、なんらかの液体のメディウム(顔料のつなぎ剤)を顔料と混ぜ合わせて絵の具をつくることをテンペラーレtemperareといい、そのような絵の具を言います。
タイトル : L’unicorno dal corno d’oro 出版社:Edizioni Arka