これは子供の絵じゃないか…上手に描かなきゃ…なんて
| 2013年10月24日 10:09 | 吉村正臣 |
Anne Herbauts アンヌ・エルボー(ベルギー)
Silencio
やかましい国の王子シランシオ
しかし、よく見ると、やはりプロは違うのですね。お城の建物、兵士や馬、緻密で、筆圧がコントロールされた洋服の模様、これらは明らかに、しっかり絵が描ける人の仕事です。人々が集まったシーンの奇想天外な顔・顔・顔一見何気ないようですがよく計算されています。手前は大きく、奥にいくほど小さく。鉛筆に、ペン、パステル、水彩透明絵の具に不透明絵の具、洋服の模様は判子のようなモノを作って押したのでしょう。印刷時に活字を加えるなど、多彩なテクニックで描かれた作品です。
作者は1975年、ベルギー生まれです。ブリュッセル王立美術学校を卒業し、1999年ボローニャ国際絵本原画展に入選。絵本や漫画、短編映像の世界で活躍しています。物語の舞台は、とにかく騒々しい街。王様はあきれ、これまた大きな泣き声で生まれてきた王子シランシオに、街を静かにさせるように命じます。
<翻訳の一部>
その街は、とても騒々しいところで、王様もお手上げでした。
ある日、これまで聞いたことのない、耳をつんざくような泣き声がしました。
「いったい、何の騒ぎだ」
「ご子息です、王様。王子がお生まれになったのです!元気で、よいお顔です。
皆、大喜びで、祝福しております。」
しーっつ!(シランシオ!)と王様が叫ぶと
一同は、騒ぐのをやめ、静かになりました。
シランシオがそのまま、王子の名前になったのです。
シランシオ王子は成長し、立派な若者になりました。少し恥ずかしがりで、不器用なところがありました。
ある日王様は、王子を呼びました。王様は、王子を「お静かに大臣」に任命しました。
宮殿では、ぶつぶつ不満が絶えず、街からも、ひそひそと悪口やらが聞こえます。
王様は「お静かに法」を作ったのです。
シランシオ王子は、人々を静かにさせる任務につきました。
王子が近づくと、みんな黙りました。会話は一時途切れます。
シランシオは、人々を黙らせることができても、ひとりぼっちでつまらなかったのです。
王様が、この世を去る日が訪れました。
・・・・・
すみません、売り切れました。