深い黒が美しい。ユーモラスな怪物たちが色彩を持つ
| 2014年09月17日 11:35 | 吉村正臣 |
Julien Roux ジュリアン・ルー (フランス)
la nuit dans mon lit
ベッドからのぞく夜
フランス語 翻訳付
作者ジュリアン・ルーは、フランス生まれ。現在はイスラエル在住。パリ国立高等美術学校(ボザール)で学び、中国では紙と墨の研究を行います。その後、ウィーンの美術アカデミーに留学。奨学金を得て韓国でグラフィック・アートを学びます。2004年具象画の賞<Collin Lefranc>を受賞。2007年ニューヨークに渡り、壁画のシリーズを発表。2009年絵本「Un jour en ville」を出版します。世界各地で展覧会を行うほか。雑誌GQ、フーディングや、高級靴J.M. Weston、イタリアのミネラルウォーター<サン・ペルグリノ>などにも、作品を提供しています。
深い黒をベースに、ユーモラスな怪物(?)たちが出てきます。白い紙に、必要な怪物だけ残して、黒く塗ったのでしょう。そこに、カラフルな三角パターンの模様がいろんなカタチで登場し、たいへんシンプルで、黒のスペースが多い絵ながら、色彩鮮やかな仕上げとなっています。
マーカーペンで描いた線も、気持ちが込められていてキレイです。立体感をつけるためにパステルかな(?)墨かな(?)・・・かすかに紙目を出す程度にかるくこすった影が作者の、絵を大事にする気持ちがうかがえます。小さい子供に、見せてあげてください。翻訳をつけました。
物語は、夜、暗くなると、ちょっとした物音が気になって、不安になる。男の子が夜ひとり、ベッドの中で、怖くて恐ろしいものを次々に想像し、不安はさらに増していきます。やがて眠ってしまい、翌朝、不安の正体が、自分の妄想だったと、気づくのです。「恐ろしく怖いものなんて、いないんだよ。それは僕たちが、想像して作ったものなんだよね」
<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき
そろそろ寝る時間。ベッドからのぞく、ひとりぼっちの夜は
真っ黒で、ときどきこわい。
物音がすると、恐ろしくなる。 いったい、何だろ?
毛がいっぱい生えた、八本足のクモが
床の上をごそごそ移動しているのかな?
押し入れに忍び込んだ、欲ばりな怪物が
逃げようとしているのかな?
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