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リアルに、装飾的に、“へたうま”で描く。さすが力のある作家

| 2014年09月11日 09:30 | 吉村正臣 |

Anne Herbauts アンヌ・エルボー (ベルギー)

les moindres petites choses
ささいなことかもしれないけれど

les moindres 表紙

 

フランス語  翻訳付

絵と文のアンヌ・エルボーは、ベルギー出身。ブリュッセル王立美術学校を卒業し、1999年、ボローニャ国際絵本原画展に入選。絵本や漫画、短編映像の世界で活躍しています。

自然の大きさ、植物や生物の強さを目の当たりにしたとき、人間はいかに小さな存在か、感じることがあります。絵本は、主人公マダム・アヴリル(アヴリルは春・4月の意味)の目を通して、日常で壮大なものに出会ったときの、驚き、高ぶるような感情、はかなさを描いています。「とるにたりないささいな私だとしても、それはそれでいいじゃない」が、マダム・アヴリルのくれるメッセージです。

人気の作家ですね。たくさんな絵本を出版しています。この作品も彼女らしい絵で満載されています。
まず、人がいいですね。すぐ横にいそうな、親しみのある女性が描かれ、つねに空を見上げ物思いにふけっているようです。
草木がていねいに描かれています。鉛筆、絵の具で、大胆に、時に繊細にていねいに描かれます。すべてよく観察されリアルに、ところにより装飾的に表現。自由に発想し、しかもバランスよくまとめてしまうところが、さすが力のある作家だと思うのです。
精密に観察して描いている部分と、装飾化している部分、わざと“へたうま”的に描き身近な絵にしている部分・・・これらを意識して、この作品を見るのも楽しく、また作家のうまさもよくわかります。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

マダム・アヴリルの庭は、短い草がはえた一角の
庭と呼ぶにはあまりにも小さい場所です。
空を見上げたり、アリのようすをうかがったり
窓のそばにたたずんだり、いろいろと考えてみたりします。
マダム・アヴリルが考えごとをすると
庭はなんだか大きくなるのです。

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