2013年ベルギーのフランス語絵本最優秀賞<Prix Libbylit>
| 2014年11月16日 09:30 | 吉村正臣 |
Frédéric Marais フレデリック・マレ(フランス〕
éphémère
生きよう!-かげろうのように
フランス語 翻訳付
一日の命しかないかげろう。はかない存在と思われがちですが、しぶとく、精一杯寿命を全うします。各ページに登場するのは、かげろうの天敵たち。それをおそれず果敢に生きる姿は、心をとらえます。
イラストレーターで、絵本作家のフレデリック・マレは、フランス出身。ハンガリー生まれの画家ヴェラ・ブラウンのもとで10年間学びました。現在も広告代理店に席を置き、アートディレクターとしても活躍しています。
紺色もしくは黒をベースに、鮮やかな蛍光色のような黄緑、やオレンジ色、静かな画面に強い色彩が目に飛び込む美しい絵です。やさしく、繊細な木の葉や草が、日本画のように描かれる中、突然、(暴力的に、)カラス(?)、イグアナ、足の長いクモが。この意外性が、絵本の流れをドラマティックに、絵を情緒だけに終わらせないドライなものにします。主人公の「かげろう」だけが空飛ぶか弱い妖精のように描かれ、異質なタッチで、浮き上がらせています。手描きかな・・・ではないでしょう、あまりに線がきれい、コンピューターで描いた良さでしょう。でも、冷たくないのは、手で描く上手さをここでも発揮できているからですね。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき
ある朝、川のほとりに かげろうが、姿を現した。
からだの両側に羽根を持ち 長くて、彫刻が施されたような脚
完璧なプロポーション
自然とは、たいしたものだ。こんな生きものを作り出すなんて。
ただ口は、見当たらなかった。
かげろうは、食べるために生きるではない。
口がなくても、生きものとしてのプライドがある。
どうせ短い命なのだから、食べなくったって。
禁欲的なまでの節約精神なのだ。
・・・・・・
一部がアニメでアップされています:http://vimeo.com/77697544
すみません、せっかくですが売り切れました。
お取り寄せいたします。12月中旬にお届けとなります。
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