命の誕生が永遠に繰り返される、が、ふとしたことで途絶えてしまう
| 2014年01月26日 12:18 | 吉村正臣 |
Laurent Corvaisier ローラン・コルヴェジェ(フランス)
詩:Robert Desnos ロベール・デスノス
Le pélican
ペリカン
フランス語 翻訳付
平易な詩ですが、最後の行で、明らかにどんでん返しとなり、詩の意図が明らかにされます。
卵がかえり、親となり、また卵を産み、親となり・・・永遠に続く『命』、それがふとしたことで破られ、命の連鎖が途絶えてしまう。私たち人間も同じですね。詩人は戦争を体験し、人間に対する過ちを表現したのでしょう。フランスでは小学生に暗唱させる詩の一つになっています。
ロベール・デスノスは、フランスの詩人で、ジャーナリスト(1900年~1945年)。 言葉遊びでユーモアな詩をたくさん発表しました。シュールレアリスム運動に参加。第二次大戦中、占領下のフランスでレジスタンスに参加。1944年ゲシュタポにとらえられ、各地の収容所を転々とさせられ、チフスのためチェコスロヴァキアの収容所で死去しました。
『ペリカン』は、彼が残した ”Chantefables(歌物語)”の中の一編です。
イラストレーションは、ローラン・コルヴェジエです。彼は、港町ル・アーヴル出身で、パリ装飾美術学校を卒業。現在は母校の教授を務めています。ボローニャ国際絵本原画展の審査員にも選ばれました。後期印象派から多くを学び、筆致の軽やかさ、多様な色彩に特徴があります。パリに住み、自らの制作とともに、後進や子供たちにも熱心に指導しています。
<翻訳の一部> 翻訳:Mar
船長のジョナタンが、18歳だったころ
遠い、遠い、東の島で
1羽のペリカンを捕まえたんだって。
ジョナタンのペリカンは
ある朝、真っ白な卵を産んだんだ。
で、ペリカンの赤ちゃんがあらわれた。
それはそれは、お母さんペリカンとそっくりだった。
そして、二代目のペリカンも大きくなって、
真っ白の卵を産んだ。
また、大きくなって、必ず真っ白の卵を産む。
さらにまた、さらにまた。
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