内気な男の子の、すてきな恋のお話かもしれません:訳者
| 2014年05月11日 11:23 | 吉村正臣 |
Anne-Lise Boutin アンヌ=リズ・ブタン (フランス)
Alba Blabla & Moi
おしゃべりアルバとぼく
フランス語 翻訳付き
パリ在住のイラストレーター。パリ国立装飾美術学校出身。絵本のほか、装丁、広告などでも活躍中です。ミュージシャンFéloche(フェロッシュ)のビデオクリップでは、共演する動物の顔を制作。<Gomette Circus>は、絵本とアプリが同時に発売されました。
この作品は、訳者の感想では『内気な男の子のかわりに、彼の口が女の子のところへ気持ちを伝えにいった、一種の恋のお話かもしれません』。翻訳とともにご覧ください。
ダイナミックな絵の展開が、爽快さを呼びます。それは、男性、女性の顔の表現のほか、木々や風景の単純化が効果的だからでしょう。と言って、なかなか繊細な草木の表現で、生き生き描かれています。木々の細密性と、人のシンプルさの対比を見てください、この絵に、新鮮感をもたらしています。また、色彩も、黒を背景に単純な色使いで構成されています。この絵本の心地よさを作る要因にもなっています。若々しい作品です。
黒の面が多いというのは、切り絵の手法を想像します。それを意識したコンピュータでの作画か…とも思います。そんなことを考えるのも、この絵の楽しみです。
<翻訳の一部> 翻訳:泉りき
どうしてぼくの口は、こうなんだろ。
ぼくといるのが、いやになったみたい。
別の声やことばのある、あんまりうるさくない場所に行きたいようだ。
しばらくして口は、ぼくの顔から喜怒哀楽を取り去り、あいさつなしに消えてしまった。
取り残されて、ぼくは怒っている。
今度、口を持てたら、ぼくはこう言うさ。
「前のがいなくなって、せいせいしたよ」
仮に、新しい口が来たら、の話だけど。
でも、もう口はない。
ぼくが話しても、音をたてることもない。
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