今までにない新しいタイプ。空想力豊かな作家の実験作
| 2015年02月24日 09:30 | 吉村正臣 |
Ronald Curchod ロナルド・クルショ(スイス)
la nuit quand je dors…
夜が来て
文章はありません 解説付
作者のロナルド・クルショは、スイス出身。フランスを拠点に活動しています。ポスター作家として有名で、ビジュアルが強い印象を残すのは、そのせいでしょうか。
テキストのない絵本です。はじめてページをめくったとき、何の関係もないイラストが、次々に登場する、と感じるかもしれません。イラストは奇妙で、印象に残ります。そしてもう一度、最初から絵本を見ると、無関係に思えたイラストが、つながって見えてきます。「これは夜、眠ったときに見る、夢の中のお話しらしい」と。
小さな黒いシルエットの男の子が、殺風景なタイル張りの部屋で、少し固いベッドに横たわり、眠っています。でもすぐに目が覚さましたようです。どうやら、ここが夢の始まりです。そしてさまざまな世界が目の前に現れます。
夢の中の風景は、どれもシュール。木のくぼみからのぞく視線、シロクマでできたコートを脱いだ人食い鬼、フォークで食べる食用の毛、こうもりでできたこうもり傘など、考えられないようなものばかりです。
絵は、板の上に不透明水彩絵の具で描かれているようです。板の目がうっすらと見えます。だからでしょうか、画法はオーソドックスで、しっかりと深く塗られていますが、硬質な感じがして、とてもモダンな絵にしています。また、ストーリーを示す場面では、モノクロ調で、マンガのコマ割りのようなレイアウトに、物語の展開を示しています。
「解説」にも書かれていますが、不思議な絵が次から次と出てきます。場面展開もダイナミック。ていねいに描かれ色彩もキレイです。
文章がないので、どう考えてもよいのですが、「解説」を読んだ上で、自由に想像してください。今までにない新しいタイプの絵本で、最初は戸惑うかもしれませんが、想像豊かに物語を作ってください。空想力豊かな作家の、実験作品です。
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