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人気絵本作家:エリック・ピュイバレの不思議な夜の旅

| 2015年06月16日 09:30 | 吉村正臣 |

Éric Puybaret エリック・ピュイバレ(フランス)

Angele表紙700

 

フランス語  翻訳付(絶版)

フランスの人気絵本作家・イラストレーター。パリ在住。フランス国立高等装飾美術学校で学んだ後、イラストの世界に入ります。1999年ボローニャ国際絵本原画展に入選。日本では2004年「月と少年」が出版されました。
物語の主人公は、アンジェルという女の子。そろそろおやすみの時間になったとき、部屋の壁に「夜の駅」という文字が出現します。駅長さんに招かれて、電車に乗るアンジェル。不思議な夜の旅が始まります。

エアーブラッシで描いたように、なめらかな画面です。わずかに、筆跡のような部分があるように見えます。非常に細やかで、きれいです。
とくに人の顔、その表情がたいへんリアルに描かれています。また、夜の闇をいく列車が、いかにも夢の世界のよう、事物の背景に描かれた暗い空が、無限な空間を感じさせるからでしょう。空の色の深さに、私たちも引き込まれそうです。不思議な神秘感、そして深い物語性を感じさせます。
シュールレアリズムのジャンルに入るのでしょうね。想像力が豊かな人で、どの作品も驚くシーンを提示しています。この絵本もその、代表作です。

<翻訳の一部>   翻訳:泉 りき

アンジェルの目が、閉じかかったとき
部屋の壁に、文字が浮かび上がり
そこはGare de la nuit 夜の駅になった。
ぐっすり眠っていた駅長さんが、
駅にやってきたアンジェルのために
うそみたいに小さな駅舎から出てきて
急に大声を出した。
「深夜特急は、まもなく発車します。
線路から離れてください。
まだ切符をお求めでない方は、お早めに」
「あの、一枚ください。で、この列車は、どこへ行くのですか?」
アンジェルは、駅長にたずねる ・・・

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