古びた針金を曲げて子供や大人の顔、そして体を
| 2015年07月29日 09:00 | 吉村正臣 |
Christian Voltz クリスチャン・ヴォルツ (フランス)
la caresse du papillon
おばあちゃんは、どこ?
フランス語 翻訳付き
クリスチャン・ヴォルツは、イラスト、彫刻、版画を手がけるフランスのアーティスト。ストラスブール在住です。15冊近い絵本を出版するほか、ドイツのテレビ局で、短編のアニメーションを制作しています。この絵本は、2007年フランスのソルシエール賞(絵本部門)を受賞しました。
春が来て、庭に出た男の子とおじいさん。おばあさんはどこにいったの?と、男の子はたずねます。亡くなったおばあさんの存在を、今も身近に感じながら、ふたりの会話がつづきます。
古びた針金を曲げて子供や大人の顔、そして体を作っています。ぎこちなく曲がった形がとても人間的。さらに、本物の土や廃品を利用して、楽しい物語を表現しています。この作家にかかれば、なんでも絵にしてしまえます。目の向き、視線がはっきりとわかります。お父さんが土を掘ります、その腕や腰、膝が、重さを支えています。ハンマーでおばさんの持つ杭を打ちます。一直線に伸びた腕、体重をかけて振り下ろす瞬間がとらえられています。作家は彫刻家でもあり、体の動き方を熟知している、だから目も、腕も、体のしぐさがとても自然で、動作に違和感がありません。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき
はじめようか。
元気づけに、まず一杯。
何もしないうちから、お酒を飲んじゃダメって、おばあちゃんは言ってたよ。
坊や、仕事に取りかかろう。
春が来たから、ラディッシュのタネをまこう。
よく見ておくんだ。
水は少しだけ。
タネが土の中に沈まないように。
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