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ほとんどのフレーズが『韻』を踏む。マダム達もおもしろい

| 2015年08月24日 09:35 | 吉村正臣 |

Isabelle Chatellard イザベル・シャトラー(フランス)

Les dames
あーら、ご婦人たち

dames表紙

フランス語 翻訳付

イザベル・シャトラーは、リオンの有名な美術の学校、エミールコルで学びました。1995年来50冊以上の絵本を出版しています。1997年、ブラティスラヴァ世界絵本原画展の「金のりんご賞」を、1994,2008年にはボローニャ・ラガッツィ賞を受賞するなど多くの受賞歴があるフランスのベテラン。2002年にはパリのクリスマスの風物詩「プランタン百貨店のショーウインド」をデコレーションし、賞賛を博しました。またアニメでも成功しています。

この絵本のおもしろさは、『言葉遊び』で綴られているところでしょう。ほとんどのフレーズが『韻』を踏んで作られています。『韻』とは、同じ音を繰り返すことで、強弱をつけたり,リズミカルに展開したり、ニャッとくすぐったりします。日本語でも多い表現ですね。
例えば、1行目は、Quelle heure est-il madame Persil? 「il」が同じ音になっています。
2行目は、Quatre heures moins le quart madame Placard. _の部分が同じ音なのです。
語末なので、一層印象深く、リズミカルに聞こえます。このパターンが続き、よくまあここまで考えたな・・・となるのです。
さらに、madame Persilというのは、「ペルシルさん」と、婦人のファーストネームを呼びかけているのですが、この名前が、食品やモノの名前なのです。どうも子供にリズムに乗った物語で単語を教えていく絵本と想像しました。

多くのご婦人たちの絵が出てきます。さすがフランスの女性たち、なかなかオシャレです。楽しくデフォルメされています。
厚手の紙目のある画用紙に、薄く鉛筆で下描きをし、水彩絵の具で描いています。影の部分は、鉛筆で紙目を生かし塗り、空間部は、水をたっぷり含ませた筆で、シミや滲みも生かして塗っています。
この作品は、セピア系をベースとし、焦げ茶の濃い色、淡い薄茶色、グリーン混じりの色・・・など、限定された色の範囲の中で描いていますが、たいへん豊かな色彩を感じます。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉りき

何時かしら? ペルシル(パセリ)さん。
4時15分前よ、プラカール(棚)さん。
間違いなぁい? ショスウール(靴)さん。
もちろんですとも、ピマン(唐辛子)さん。
遅れない? ペタール(爆竹)さん。
大丈夫よ、ピストゥー(プロヴァンス地方のソース)さん。
何時にはじまるの? ピッカン(棘)さん。
4時ちょうどよ、スリーズ(サクランボ)さん。

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