テーマ「失われるものと再生」を絵と装丁、そして紙によって表現
| 2015年11月19日 22:30 | 吉村正臣 |
anne herbauts アンヌ・エルボー (ベルギー)
Lundi
月曜日のランディ
フランス語 翻訳付
出版社: Casterman
アンヌ・エルボー(1975年生まれ)は、ベルギーを代表するイラストレーターです。ブリュセル高等美術学校で、イラストレーション、アニメーションを学びました。常に、話題の作品を発表し、ヨーロッパ各国、アジア、アメリカにも紹介されています。
凝った装丁が特長のアンヌ・エルボーの絵本です。装丁の細かい工夫は、物語のテーマである「失われるものと再生」と関連があります。彼女が好んで使用する白い紙は、ページが進むごとに、紙の厚さが薄くなります。これは主人公がいなくなることを表現しています。途中、何も描かれていない真っ白なページがありますが、読者に過ぎ去った時間、未知の時間を意識させるためだとか。物語の最後に、いなくなった主人公が再び登場(外見が当初と少し違っています)するページでは、紙の厚さが最初と同じにものになり「再生」を意味します。
紙の表面を浮き上がらせる「エンボス加工」も、表紙回りとページの一部に施され、手ざわりをお楽しみいただけます。
この作家らしい絵のかきっぷりがとてもよい作品です。鳥や小動物たちが、愛らしくおおらかな様子にデフォルメされています。自然界の雲や風らも、とても豊かに擬人化されます。一方、背景になる、風景・・・大地や山、吹雪のシーンは、水をたっぷり含ませた筆で水彩絵の具を大胆にさっと塗り、パステルなどでさらに書き加えています。きっちり描くところと、ざっくり描くところの差が見事です。白のスペースが絵を広々と感じさせます。さすが、一流の作家だと思いました。
<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき
ランディは、この人の名前。
ランディは、月曜日のこと。
月曜日は、火曜日を待つ。
火曜日は、水曜日を思う。
水曜日は、自分を木曜日より小さいと感じる。
木曜日は、明日は金曜日なのか、もうわからない。
土曜日は、びっくりして
日曜日は、黙ったまま。
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