自然や先祖への敬意を忘れない暮らしぶりが描かれます
| 2015年12月27日 09:00 | 吉村正臣 |
Frédérick Mansot フレデリック・マンソ (フランス)
WAKANDA ET LES RÊVES VOLÉS
ワカンダと奪われた夢
フランス語 翻訳付
出版社:Gallimard Jeunesse Giboulées
フレデリック・マンソは、優秀なイラストレーターを輩出する、リヨンの美術学校エミール・コールを卒業しました。イラストレーターとして、20年近いキャリアを持ち、数多くの絵本を出版しています。現在はリヨン郊外に住み、創作活動とともに、母校エミール・コールの教授として、後進を育成しています。
主人公の少女ワカンダは、北アメリカに住むインディアン。ワカンダの部族出身の子たちは、いつの日からか、夢を見ることができなくなりました。ある日、森に住む魔女から「夢を奪った人がいる」と教えられます。それは誰?夢を取り戻そうと奔走し、立ち向かうワカンダの物語です。
熱意を込めて、細部まで気持ちを行き届かせ描かれた、とてもよい絵です。よく見ると、大変な仕掛けがあります。表紙の裏ページ全面に、満開の花々がぎっしりと、黒い線と絵の具を使い描かれています。この花の絵を、他のページの下絵に使われています。完全に塗りつぶされたり、一部が使われたり。ですから全部の絵が、同じニュアンス(タッチも物語性も、重厚度も)を持っていて、絵をよく知った作家だと思うのです。赤がとても美しい、その秘密は赤の背景の隠された絵にあるのです。
<翻訳の一部> 翻訳:泉 りき
少女ワカンダがいる部族の子供たちは、夢をしばらく見ていない。
あまりにも、ぐっすりと眠ってしまうから。
夢なんか見ても、疲れはとれやしない。
ましてや夢は、傷も癒やしやしない。
長老たちが言うのだ。
ワカンダが大きな湖のほとりに行くと、森のそばに住む別の部族の女の子・シェノアに会う。
シェノアはワカンダに、夢を話してくれる。
夢は月が運んでくるのだ、と信じている。
ワカンダは、夢を見る方法を、もっと知りたくなった。
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