5歳以上を対象にした恋のお話。スイスで出版されました
| 2016年12月21日 09:50 | 吉村正臣 |
Albertine アルベルティーヌ (スイス)
La mer est ronde
海の上のふたり ティナとアントニオ
フランス語 翻訳付
出版社: La joie de lire
スイスの絵本作家。ジュネーヴの装飾美術学校で学び、多くの絵本を出版。各地で作品展を開催しています。1999年ブラチスラバ世界絵本原画展で「金のリンゴ賞」、2011年フランスの絵本賞「ソルシエール賞」、2012年「ニューヨーク・タイムズ ブックレビュー 最優秀イラストレーションブック賞」など、その功績は世界中で認められています。
客室係のティナと、料理人のアントニオ。別々の大型クルージング船で働いています。ある日、二隻の船が同じ港に停泊したとき、ふたりは出会います。手紙のやりとりをすることを約束。海の上にいるふたりは、手紙を出し合うだけで、顔を合わせることがありません。アントニオに会いたいティナの思いはつのります。
とても色彩が鮮やかでキレイなイラストです。まさに絵本のお手本のよう。もともと上手な人で、読者の喜ぶポイントをよく知って描いています。不透明水彩絵の具で影や光の部分を筆のタッチを生かし、平面部は筆跡がない、印刷段階で色を入れたのか・・・Macか・・・しかし厚みのある、手で描いたような面になっています。単純化された船は、この作家のおおらかさから来るのでしょう、温かさを感じさせます。
<翻訳の一部> 翻訳:泉りき
ティナの仕事場は、船です。客室のそうじを担当しています。ベッドメーキングをし、窓を磨きます。窓のない客室もあります。そんなときティナは、壁に大きな写真を貼ります。海と空の写真です。そうしておけば、窓がなくても、ゲストは同じ風景が楽しめます。
ティナには好きな人がいます。料理人です。昼間はにんじんの皮をむき、ズッキーニをカットし、パセリをきざんでいます。夜はトマト味のスパゲティ、キャベツのファルシ、アイスクリームを作ります。だけど彼の得意料理は、魚なのです。だけど、大量に切り身になった魚を調理するのではありません。ついさっきまで泳いでいて、飛び跳ね、ぴちぴちしたイキのよい鮮魚を使う料理です。
ティナは夜、仕事を終えると、手紙を書きます。おじいさん、おかあさん、妹。それから大好きな料理人の彼に。
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