12のイソップのお話が収録。動物たちの表情が素敵
| 2016年12月07日 03:25 | 吉村正臣 |
Marisa Vestita マリーザ・ヴェスティータ(イタリア)
Les Fables d’Esope
イソップのお話
フランス語 翻訳付
出版社:White Star Kids
イタリア南部ターラント出身のイラストレーター。同じく南部のレッチェ美術アカデミーで絵画を学び、同時にコミック、シルクスクリーン、舞台美術を合せて学びました。2002年からはミラノに住み、イラストレーターとしての活動を開始。ミラノのヨーロッパデザイン学院で、デジタルグラフィックデザインの授業を受講し、表現の幅を広げました。ミラノを本拠とする出版社の雑誌Linus, Grazia et Natural Styleにイラストを提供する一方、グリム兄弟の童話やラシーヌの戯曲を絵本で出版しています。
ウサギとカメや、セミとアリ、オオカミが出た!と叫ぶ羊飼いのお話など、日本でも有名なものも含まれています。物語に登場する動物たちの性質やふるまいは、まさに人間の本質を突いたものです。ユーモアにあふれ、最後は読者を「うーん」とうならせる説得力。愛らしいイラスト、大胆なレイアウトで、新しいイソップの世界を表現しています。
マンガタッチのイラストですが、それを斬新に感じさせるのは、すべての絵が、板の上に絵の具を塗ったように、木目が浮き出ているからでしょう。紙上なら平凡な絵になっていたはず。ただ、実際は、絵の構成は手書きで、仕上げはPCでしょう。いろんな種類の木目パターンのフィルターを、人や動物、植物の、各部分に応じて変化させ重ね、それぞれの効果を調整しながら作成したように思います。色の変化と木目の各種模様がとてもよい組み合わせとなり、特徴ある新鮮さを示しています。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき
はじめに(抄訳)
刹那的なセミ。用意周到なアリ。実ったブドウを食べたくて、必死になって取ろうとするけれど、無理だとわかったとき、理屈をつけてあきらめようとするキツネ。そんな動物たちに、自分自身を投影しない人は、いないはずです。
イソップのお話は、簡潔な文体で、人間社会の習慣や行動が見事に描かれ、誰しも思い当たるふしがあります。こどもからおとなまでが楽しめ、何世紀たっても、その魅力は色褪せることがありません。
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