この絵本は、盲目の少年が、風の色を探すお話です
| 2017年08月11日 09:58 | 吉村正臣 |
anne herbauts アンヌ・エルボ (ベルギー)
de quelle couleur est le vent?
風は、どんな色?
フランス語 翻訳付き
作者は1975年、ベルギー生まれ。ブリュセル高等美術学校を出ています。絵の勉強の他、マンガやアニメなどの経験もしました。常に、話題の作品を発表。ヨーロッパ各国、アジア、アメリカにも紹介されています。この絵本も衝撃を持って迎えられました。
この絵本は、盲目の少年が、目に見えない風の色を探すお話です。『風は、どんな色?』と、すれ違う犬や、木や、人に聞きます。それぞれが質問に答えるのですが・・・。
盲目の子供に読み聞かせるためか、表紙には点字が、絵には、でこぼこ印刷で、触ると想像できる工夫もあります。
絵が、とてもキレイで、さまざまな画面が、次々と絵の表情を変えて現れます。あるときはしっかり塗られ、あるときは白地に大胆な色、目を閉じた少年の顔と大きな靴のシルエット・・・絵のうまい人です。《風》と《色》のさわやかなイメージがする紙面です。
文章は、詩のようでたいへん美しい。
まず文章を読み、その後、子供さんに、自由な発想で自分流にお話するのに最適でしょう。
<翻訳の一部> 翻訳:Mar
私たちは、風を見ることはできません。
風が連れてくるものの音なら聞こえます。
私たちは、風を聞くことはできません。
風が運んでくるものなら見えます。
風は、どんな色? 小さな男の子は、思う。
風と、風の色を探しに、朝早くから出かける。
年をとった犬とすれちがう。
犬に聞いてみた。
風は、どんな色?
風には、色があるよ。バラの色、明るくて元気な色、薄い白とか。
でも、オオカミが作る風は
薄暗い森のにおいがするよ。
彼は、ばったりと象に出会う。
で、聞いてみた。 風は、どんな色?
そうだな・・・ふっくらしていて、ちょっと冷たく、灰色かな、
で、つるつるの小石みたいに手ざわりがいいんだ。
いや、青だ、山が呼吸するみたいに。
男の子は、村を通り過ぎる。
そこでたずねる。
風は、どんな色?
それはカーテンの色、リネンの色、あざやかな木綿の色。
そうじゃないよ、窓が言う。
いいお天気の日の、村のにぎわい色だよ。
※ご注意ください! すべての文章が、点字になっているものではありません。また、手で触れて内容がすべて理解できるものではないと思われます。
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