離ればなれになった男女が、窓の外を飛ぶツバメを見ながら・・・
| 2017年08月05日 10:27 | 吉村正臣 |
Giovanna Ranaldi ジョヴァンナ・ラナルディ (イタリア)
C’est dans l’air
大空へ
フランス語翻訳付
出版社: Editions Passepartout
イタリア・ローマ出身。長年、美術作品の修復の仕事にたずさわったのち、イラストレーターに。ローマの国立高等美術専門学校、ニューヨークのパーソンズデザインスクールで学びました。2004年イタリア「金の靴」国際イラストレーション賞、2006年はじめての絵本作品が、ステファン・ザブレルイラストレーションコンクールで特別賞を受賞しました。2008年からは、絵を描くことを通して、ローマ・テルミニ駅周辺のホームレス支援活動を行っています。
今は離ればなれになったふたりの男女が、窓の外を飛ぶツバメを見ながら、子ども時代を思い出します。「何でもできる」「どんな夢もかなう」と信じていた子どものころをふりかえり、女性は今の自分を寂しく思うのですが、遠くにいる男性は言うのです。「ぼくたちは今、自由じゃないか」と。あちこちを飛び回り、季節の訪れとともに旅立つツバメが、ふたりがこどものころあこがれた、自由の象徴として描かれます。
とても静かな絵です。ツバメの群が飛ぶ軌跡を、細い線の束で象徴するように描き、全ページを通じてさまざまに動かし、各画面の関連性を出しています。この線群に導かれながら、物語を象徴する絵が、各ページ描かれます。線は、硬い鉛筆かペンで鋭く、エッチングの線のように描かれ、印象的です。そして絵は、別紙に手で描いた絵を切り抜き貼っているよう。鉛筆画で大きく男性青年の顔が描かれています。しっかりした若々しいデッサンで、イタリアらしい画風です。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき
ツバメたちは、落下することなんてこわくない
翼を広げ、高く低く飛ぶ。急降下したかと思えば
部屋の前で急旋回
「私も空を飛べたらな」とつぶやく。
ツバメを見つめていると、ふと思う
以前は、どんなことだってかなうと思っていた。
そしてあなたは、窓の前でつぶやく
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